万引き家族のレビュー・感想・評価
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今の年齢だから感じるものがあった
自分は安藤サクラと同世代でいわゆる団地世代の最後の世代として子供時代を過ごした。
私が小学生の頃は集合住宅の団地に住んでいて、その頃は団地にたくさん子供がいたし今思えばネグレクト状態でいた子供も多く見たし、うちも裕福な方ではなかったが当時母が新聞配達をしていて集金に尋ねた市営アパートには子供しかおらず、ご飯もなく母が見兼ねて近くのコンビニでおにぎりを買って与えていた事なども思い出した。
現代では考えられないけれど見兼ねて他人の子供を自分の子供として生活するというおったまげな設定も、ひと昔前の時代に取り残されてひっそりとギリギリを生きる人間がいたならあり得るような気がした。
これはそういう人を描いたテーマの映画だという前提で、割とリアルに素直に受け入れられた。
登場人物たちは根っからの極悪人でもなければ善人でもないし経済的に困窮している人間が目の前に起きる問題を自分の欲望を入り交ぜながらその日暮らしで乗り切っていくとしたら、正にこんな事も起こり得るのかもと思わされた。
日本映画がカンヌで最高賞を取ったと聞いた時点でかなりハードな内容なんだろうなと覚悟して見たが、この年齢になったせいか思ったよりはマイルドだった。
タイトルが万引き「家族」とは言っているが決して家族と見るものではない。
(言っても気まずいシーンはあるので)
ラストの方で(子供が産めない)安藤サクラが子供たちにどう呼ばれていたのか、と警察が問う場面では警察役の池脇さんの芝居がちょっと臭いななんて思いながらも気付いたら涙が出ていた。その涙に対する自分の感情がよくわからないが…
(録画を見直してリンを戻しに行った先で言い争う声「私だって産みたくて産んだわけじゃない」を聞いた安藤サクラが子供を返したくなくなったんだろうというところとか、工事現場の家の中で「ただいま〜おい、翔太…」と妄想を口に出すリリーに泣けた)
そろそろ終盤かなというところから、はっきりすっきりさせないまでもある程度のところまで見せてくれてあとはこの人達はどうなっていくんだろうというところも実在する人間のような終わり方でリアルに感じた。
あとは松岡茉優がおばあちゃんと慕って甘える場面や、色々な事が分かったあと自分が必要とされていたのか疑問を持ってしまうところなんかも樹木希林と同じくらいの祖母がいる自分としては切なかった。
いろんな世代の登場人物が出ているので、見る人の年代、性別、その人の現状によって感じる事は様々だろうなと思う作品だった。
この映画の主人公たちを忘れたくない。
何度も見返したいと思った映画だった。
正直うまく感想を言葉にできない。
その時の自分の置かれた状況や気分で感想がかなり違ってくるような気がする。
今回(2019.12.17)に観た時点では、
社会には、自分よりも、経済的にも世間的にも孤立している人が実際いるということに関心があるため、この映画がとてもリアルに感じた。
この映画のような世界、人生があるということも、この世界の悲しい現実であるということが、これから生きていく上で、かなり悲しく、辛くなる。
一方で、社会的な弱者にも手を差し伸べてくれる優しい映画の中のような人たちもいることを忘れたくない。
リアルと芸術の狭間
一緒に見ていた母は、「作品に共感できない」と、途中眠ってしましまし...
一緒に見ていた母は、「作品に共感できない」と、途中眠ってしましましたが、
私は、この作品は、実際にあった事件をモチーフにして作ったんだろうと感じるほど、とてもリアリティを感じました。特に、おばあさんが亡くなったあと、葬式などの費用がないので、庭を掘って埋めるなど。実際、本物の家族でも、葬式が出せずに、そのままにしている方があとを絶ちません。善悪ではなく、現代の、ある擬似家族の1断面として、良く、描かれていると感じました。
かなり泣けた
やっぱり是枝監督の作品は良いね。しかも知らなかったけど先行上映だったんだね。出演しているキャストみんな演技が上手だった。是枝監督の作品にはとうもろこしを食べるシーンが出て来ることが多いです。特に歩いても歩いてもに出てくるとうもろこしを揚げたシーンは見ているだけで食べたくなる。是枝監督のお母様が作ってくれていた料理なんです。そんな実際の家族の思い出がシーンに込められたりするから見ているこっちまで血が繋がってなくても絆に感動するんだろうな。
以前、他の試写会作品の舞台挨拶なのに阿部寛さんが次の作品「歩いても歩いても」がめちゃくちゃ良い作品だったと絶賛していたのが印象深くて出演しているキャストが感動してるんだから観ているこっちはそれ以上に感動しました。いつもキャストの中に樹木希林さんがいるのも素敵だなと思います。
ひどいと言っている人は何も不自由なく育った方だと思います
こちらの作品を見てただただ泣きました。その後はまずレビューが気になりました。同じ感情の人がいるのが見たくてたまらなかった。普段はレビューなんて投稿もした事は無いけれどとにかく皆んなの感想が知りたかったです。レビューを見れば普通に育って来た方、ネグレクトで育った方の解釈は明らかに違いが出るだろうと…やはりレビューには普通に育って来た方の評価は悪く、何らかの違った育ち方なのかはわかりませんが、人の痛みが分かる方のレビューもあり救われました。この作品は完結ではないし丸く収まる形でも終わってないのがまた泣けるポイントだと思いました。愛が溢れる嘘の家族の中で育つよりも愛のない本当の家族の方が良い環境だと思われてしまっている。戻ったとしてもやはり嘘の家族の時のことを不意に思い出してしまい遠くをみるりん。しょうたに最後嘘を付いたのも愛だと思う。嘘を付いてしまってもバスを追いかけてしまう所。泣けて泣けてしょうがなかった。でもこれは育った環境で感想は違うかな。でも分かって欲しいと心の底から思いました。
この映画は鏡
やられた人しかわからない
虐待を生まれてから何年もされ続けた人にしか分からない痛みがあるし家族に存在を消される痛みも本人にしか分からない
やられた者だけがわかる痛み
その傷を少しでも癒そうと集まって
自然と家族になってしまった万引き家族。
私は生まれてから家出をする17歳まで虐待されていたので泣きながら観ました、痛いほどみんなの気持ちがわかりました
学力や経歴もないので水商売するしか生きていく方法が無いのも理解できます。
夏のシーンでは本当の家族のようにみんなの笑顔が素直で可愛らしくて尊かった
信代がきちんと働いていたので治が真面目に働いていればもう少し家族でいれたのかなと思いました。
この映画は理解出来ない人が多い事を願います
痛感して涙を流した人にはあなただけじゃないよ、よく頑張ったねとお伝えしたいです
酷い経験をしていなくても見事に演じきった製作に関わった全ての方達も凄いの一言に尽きます。
これはひどい・・・・
なぜこんなに話題になったかが理解できなかった。
まずどんな環境であれ犯罪集団に全く感情移入できず、被害者が気の毒で仕方ない。
最後の30分ぐらいで子供がきっかけで警察沙汰になったときは爽快だった。
自分の子供には絶対に貧しい生活を送らせてはいけないということを痛感しただけでも、
見る価値があったから星一つ。
是枝監督の技量
カンヌ国際映画祭パルムドール賞を受賞した2018年最高の話題作ですが、何とも後味の悪い映画でした。
『三度目の殺人』『海街diary』『そして父になる』『誰も知らない』等々、近年の映画祭、映画賞の実績からすれば是枝裕和監督は、日本映画界を代表する名匠といえるのでしょうが、本作を含めストーリーテリングの妙は大いに実感しつつも、僭越ながら私としては映像作家としては超一流だが、映画監督としては疑問を抱いています。
公開後かなりの時間を経ても、その世評は相変わらず高いのは周知の通りです。安藤サクラや樹木希林といった演技派の、説得力を持って観衆に訴える、淡白ながらも迫力あるナチュラルな演技、子役二人の自然な情感に満ちた演技、リリー・フランキーの猥雑さ、松岡茉優のナイーブで堂々たる品のなさ。彼らが有機的に融和して昇華し、現代日本社会の底辺に生きる生活実相を赤裸々に抉り出し世に訴える社会ドラマは、やはりセンセーショナルであり重厚です。一方で観衆を惹きつける筋立てと小気味よくテンポの良い場面展開によって時を忘れさせる編集の技巧は名人級だと思います。
抑々のテーマは悲惨であり暗鬱であるにも関わらず、不快な嫌悪感が残らないのは、犯罪を描く惨憺たるエピソードを滑稽でユーモラスな台詞・所作と描写に徹しているからであり、いわばシリアスな社会派の色彩を塗した吉本新喜劇という印象がします。
またラストの安藤サクラのアップでのロングショットは、是枝作品では珍しく、作者の主張を明確に言わせていて、私としてはやや違和感を抱いた次第です。
ただ社会の底辺で生きる人間の強かさ、逞しさを高らかに讃えるような作調にはなっておらず、終始醒めた視点で淡々と画を切り取り組立てられており、黒澤明監督の名作『どですかでん』のような人間賛歌への感動は持てません。
但し、観終えた後に何とも言えぬ鬱屈感が残ります。それは、己より下層の者が犯罪にすら手を染めて、日々の暮らしに必死に踠く様、その苦しむ様に対して、決して公言したくはありませんが、どうしても心の中で抱いてしまう優越感、侮蔑感です。嘲笑してしまう自分を決して否定出来ない、一種の自己嫌悪でもあります。
これが後味の悪さの根源でしょうか。
尚、是枝監督の私見としての評価ですが、“家族”の在り様、真の“家族”とは、を常に追求する姿勢は、映像作家としては非常に高く尊重します。
ただ、私としては、映画館で対価を払って観る「映画」作品には、満足感、幸福感、陶酔感、高揚感による快感や感動を与えてくれることを期待しています。日常の延長として家庭のリビングで心身弛緩してやや騒然とした中で観るのと、映画館の暗闇と沈黙の中、多少の緊張感と不安感に揺蕩いながら、非日常空間の極大画面で観るのとは本質的に作品の作り方が異なるはずです。
是枝監督のストーリテラーとしての水準は極めて高いと確信しますが、映画作品としては、全体的ダイナミズム、その展開する舞台、アピールするテーマ、映像の構成が小ぢんまりと収まってしまっている感が拭えません。
残念ながら、昨今の映画作品、特に邦画には、映画館で観る作品たり得ていないものがあまりに多いと感じており、大いなる不安と憂慮を抱いています。
【不寛容な思想が広がる現代日本でこの作品を世に送り出した是枝監督の映画人としての気概、姿勢を全面的に支持する】
どうしてもリリー・フランキーより池脇千鶴
家族らしさ
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