「駄菓子屋の店主」万引き家族 hi02さんの映画レビュー(感想・評価)
駄菓子屋の店主
東京の下町で、祖母・父・母・母の妹・息子の5人が暮らしていた。
ある冬の日、父は虐待されている女の子を家に連れて来て、
6人で暮らすようになった。
“万引き家族”というタイトルだが、
万引きしているのは主に父と息子である。
しかし、物語が進むにつれ、
他のメンバーも世間的には良くないことをしていることが
徐々に明らかになっていく。
息子が単独でよく万引きしている駄菓子屋に
息子と女の子で行き、女の子が万引きした時に
息子は「妹にはさせるな」と年配の店主から言われる。
そこから、6人での暮らしは徐々に崩壊に向かい・・・。
描写はないが、
店主が「妹にはさせるな」と言った意味を、
息子は深く考えたと思われる。
自分の万引きは黙って見ていたのか。それはなぜか。
同情か。見捨てられているのか。自分の判断でやめろということか。
以降、息子は父との万引きを渋り始め、
やがて大きな転換点を迎える。
他にも印象に残っているシーンがある。
母の妹が祖母に”童貞殺し”を説明しているシーンである。
ちょっと横乳の見えるニットのワンピースを着て
乳を揺らすと3000円という母の妹の説明に対して、
祖母は「いいねぇ、そんなんでお金もらえて」と応じる。
正しさが過度に強調される現代日本の風潮を
一蹴する強さが、その発言にはある。
貧しさに対して、たくましく、したたかに生きていく
強さを感じた。
自分に対して世間知らずだなと思う一方で、
世間知らずでいられる境遇にあることを改めて感じた。
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