劇場公開日 2018年6月8日

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「犯罪にクローズアップしたものではない」万引き家族 ジンジャー・ベイカーさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5犯罪にクローズアップしたものではない

2018年6月24日
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鑑賞方法:映画館、VOD

悲しい

知的

難しい

久しぶりの是枝監督の作品。邦画はあまり鑑賞しないが、パルムドールを受賞したこともあって期待も大きかった。
ストーリーは家族のようで家族ではない人達が貧しい中で犯罪をしながらも生活をしているが…というもの。
犯罪や家族、複雑な人間関係とテーマは重く、重い雰囲気が漂う。しかしながら、本作の特筆すべき点でもあるユーモアを交えた家族の会話がちょっと笑えて素朴な家庭を演出していた。やはり、脚本が素晴らしいと感じる。家族は犯罪で繋がっていたかのように見えて、固い絆で繋がっていたことは言うまでもない。
事件が起こって家族の内情が露呈してからも見もの。それぞれのキャラクターがそれぞれの形で家族を思いやる、その描写に泣ける。
素晴らしい俳優陣の演技が本作の描写にリアリティを与え、絶妙なバランスの映画に仕立てた。特に安藤サクラと樹木希林が完璧な演技であった。
この映画に対して否定的な意見を持つ人も多いみたいだが、素晴らしい映画であることは間違いないだろう。是枝監督は映画の捉え方を全て鑑賞者に委ねた気がした。ラストシーンには何かを問われた気分だった。シリアスなテーマの中にハートフルな要素を組み込み、一つの稀有な家族の形を赤裸々に映し出した本作は多くの人を魅了するに違いない。

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ジンジャー・ベイカー