劇場公開日 2018年6月8日

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「一回では消化しきれぬ満載さ。」万引き家族 エクさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5一回では消化しきれぬ満載さ。

2018年6月11日
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梅雨の映画館。月曜日の午前、新百合ヶ丘という郊外の劇場も思いかけず長蛇の列。パルムドールの号外は客の足に直結しただろうが、それだけではない彼への期待がきっとあるのだろう。

6月の歳時記になりつつある是枝裕和新作。

素晴らしかった。正直一回観ただけではまったく消化出来ていない気がする。

安藤サクラ。けだるさの魅力。不潔にさえ見えるけだるさが、母になるにつれ凄みに変わっていく。ラストがよかった。
セリフが素晴らしかった。あのセリフでひとりのけだるい女性に賢さが宿った気がした。

リリーフランキー、松岡、樹木、みな凄かった。いいシーンはあげきれない。

でも、ひとつだけ大好きなシーンを。

松岡が池松壮亮を抱きしめる場面。震える心と身体を抱きしめる場面。涙のしずくと若い肉体が悲しく美しかった。

是枝裕和、進化の途中。もっともっと人間を家族をこの社会を深く描いてくれるだろう。

彼と同時代に生きていることが、嬉しくもかなしくもある。

エク