「突き刺さりました」万引き家族 maroさんの映画レビュー(感想・評価)
突き刺さりました
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自分にとって、本当に突き刺さるような映画だった。
人生半分生きてきても、母親との関係にいまだにしこりを抱えているせいか、「家族って、母親って一体?」と、古傷をえぐられるような思いで観ていた。
誘拐の取り調べで池脇千鶴演じる刑事に羨ましかったんでしょう?と、上から目線で言葉をかけられ、泣く安藤。
母だからといって、無条件に子供を愛するわけではない。
彼女自身もりんと同じように虐待された傷を持っている。血のつながった母親だから「母親」であるわけではない。
彼女のあの涙に私も泣いた。
実はほぼ全員他人、血がつながっていない「家族」。こ汚い家で、万引きが前提の生活をおくる疑似父と疑似母は、子供二人が最も必要としていた、安心できる居場所を与え、慈しんだ。
海のシーンは本物の家族以上に家族だったと思う。
あのときの樹木希林の幸せそうで、穏やかな表情といったら。幸福の絶頂。だからこそ、観ていて不安を感じた。そして案じたとおりに、ピークから一気に崩れ始める・・・。
色々感じることが多く、観終わって4時間くらい経つのに、まだうまく言葉がまとまらない。
とにかく素晴らしい出演者と印象的なカメラワーク。セリフに出ない背景も、映像ですとんと伝わり、最後までひたすら没入した。映画館で観て良かったと心から思う。
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