ガンジスに還るのレビュー・感想・評価
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これがインド版「終活」なんですね!
死期を悟り、ガンジス河畔の聖地バラナシで死を迎えるべく移住を決意した老父とその家族のヒューマンドラマ。家父長制が根付いているのか、息子(と言っても適齢期の娘がいるのだが)は仕事まで休んで、「終活」ホテル入りする父親に甲斐甲斐しく付き添う。インドの人達にとってガンジス河がとても神聖な場所であること位しか知らない私たちにとって、この作品で見知る彼らの宗教観・人生観は本当に驚くことばかり。しかし、死期が到来するのを心静かに迎え待つ慣習は、それだけ死を尊厳あるものとして受け入れていることの証左でしょう。人が亡くなることを「解脱」(呪縛束縛から自由になること)と呼ぶのも、そういった死生観と無縁では無いように感じました。ちょっと興味深かったのは、終活ホテルの滞在期間が最長15日に決められている点。実際に永眠する日など誰も事前に分かることなどまず無いのに、そんな決まりを本当に守れるのかと最初は不思議でしたが、そこはちゃんと知恵で解決していた! 遠く離れたインドの人達の人生観や家族観がこの作品を通して覗き見れたようでとても興味深く感じました。
二十歳です
天才
ドラマチックな物語を見たというより一般的なインド人家族の最期を見たという感覚
父と子と
不思議な余韻が響く作品でした
死を迎える街、バラナシ。
予備知識なしで観た。
映画の舞台、バラナシの街はヒンドゥー教徒にとっての聖地。死期を悟った教徒が、家族とともにやってきてここで死を迎えることは最大級の喜びのようだ。
ここで、ああ、遠藤周作『深い河』で大津が働いていた場所か!と気づく。同行することになった息子の上司の言う嫌味、「そこに行かなくちゃいけないのか?」は、おそらく今の日本社会においても同じ宗教観であろうことは察せられる。つまり、日本のサラリーマン社会では失職につながるほどの宗教行為だろう。日本で言いかければ、例えばお大師さんのそばで死にたいから高野山に連れていけと言っても、一般人にはたぶん受け入れられないだろう。ホスピス病棟などがあれば別だが。しかしまあ、死期を迎える崇高な意思とは違い、意外に世俗的で、ゆるゆるのルールと何でもありの実態。まあ、高野山だってコンビニあるんだしいいよね。・・・・
そんなことなどを考えながら見てた。息子の気分もよく分かった。そりゃまるで自分のようだから。
それがいつのまにか。
いつのまにか、なのだ。ずれていたもの、反発していたものなどが、しみ込むように受け入れられるようになっていく。じわじわ、とくる。知らず知らずに満たされていく浴槽の湯に浸かるように、じわーとくる。人生の滋味あるれる良作だった。
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