劇場公開日 2018年10月27日

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「尺の短いインド映画。99分はお得か?」ガンジスに還る kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0尺の短いインド映画。99分はお得か?

2019年9月9日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 最初は親子によるロードムービーになるかと思っていたのに、あっさりバラナシの「解脱の家」に到着。15日間しかいられないと管理人に教えられ、まるで予言者であるかのような自らの死期を悟った父に、静かに死を看取ろうと覚悟したラジーブだった。何せ仕事人間である彼は顧客を無くしてでも付き添う覚悟・・・電話はひっきりなしに鳴る・・・

 象は死期を悟ると群れを離れて孤独死するという。確かに77歳のダヤは息子に対して「着いてきてくれ」とは言ってなかった。親子愛は感じられるのですが、全体的にコメディ色が強いし、プロットとしても平凡。しかし、インドのヒンズー教のしきたりとか、文化の違いといった内容は勉強になります。宗教的な意味も込めて死生観が信心深くない息子とも違うし、死を迎える過程の第一歩とか、インド古来の修行僧の雰囲気も漂っている(手塚治虫の『ブッダ』の雰囲気)。他人の火葬現場を見せられて、思わず絶句してしまうラジーブの表情もよかった。

 ちょっとシニカルで可哀そうに思えるエピソードとして、夫婦で「解脱の家」に入ったのに夫に先立たれ18年間も住んでいるヴィムラというおばあちゃんの存在感。もしかしてダヤと夫婦になるんじゃないかとも想像してしまうのですが、結末は見てのお楽しみ。

 シタール等を使った演奏もワンシーンあったのですが、全編に流れるのはアコースティックギターのBGM。インドっぽくない音楽だったし、英語のあいさつとかテレビ電話とか、その辺りはもっと民族性を出してもらいたかった。

 インドでも乗り合いタクシーだったことも一つの発見。イラン映画でもそうだし、東南アジアでも何かあったような・・・映画とは関係ないのですが、これを先進国で推し進めることにも疑問がある。アメリカのUberといい、それを真似しようとする日本とか・・・未来のタクシーはどうなるんだろ?

kossy
bloodtrailさんのコメント
2019年9月9日

等身大のインド映画、って言う感じがして良かったです。でも、待っていればポックリと逝ける、なんてもんじゃないと思うんですよねw

bloodtrail