「しっとりとした、もどかしさ」青夏 きみに恋した30日 やきすこぶさんの映画レビュー(感想・評価)
しっとりとした、もどかしさ
私、古澤監督の作品、『リライフ』『一礼して、キス』が好きで、『恋と嘘』も楽しめたので、この作品も楽しみにしていました。
それで、その三作品で思ったのは、情景も好きなんだけど、主役の力を魅せるのが上手い監督さんなのかなと。
『リライフ』は中川さんの若さと落ち着きで実力が発揮されていたと感じたし、『恋と嘘』は森川さんの魅力を知れました。
それから、『一礼して、キス』は、もどかしい映画なのですが、池田さんが退屈させない。彼女でなければ映画が成り立たなかったのではと思うくらい。
そして、この『青夏』も凄くもどかしい。そのもどかしさを葵さん、佐野さんが存分に魅せてくれました。
はっきり言って、ストーリーは王道青春恋愛映画です。
ですが、二人の関係を大きく揺さぶっては来ません。
万里香あたりをもっと動かしたら、映画はもう少し劇的になったかもしれませんが、敢えてそれはしない感じです。
古畑さん、演技抑えていたかも。
そんな感じの映画なので、比較的早く両想いになったであろう理緒と吟蔵が、自分の気持ちにどう整理をつけるのかを、じっくり見る作品になっていると思います。
その中で見せる葵さん、佐野さんの表情が良いです。落ち着いた表現で、喜怒哀楽を感じさせてくれます。
だからこそ、最後の涙はより美しく感じました。
この映画、しっとりと二人の関係を楽しめます。
古澤監督、二人の表情を生かしてくれました。
作中、好きなシーンがいくつかあったのですが、特に印象に残ったのが花火のシーン。
ちょっと合成っぽいのですが、それが逆に二人だけの世界を醸し出してる気がして、素敵だと感じました。
素敵なシーンと素敵なお二人。
この映画、とても素敵な作品だと思います。