「人類の存続と人間の尊厳」メイズ・ランナー 最期の迷宮 耶馬英彦さんの映画レビュー(感想・評価)
人類の存続と人間の尊厳
前2作から随分時間が経っているので、どんなストーリーだったかうろ覚えになってしまっていたが、観ていなくてもそれなりに楽しめる内容になっている。
人類の存続を大義とする全体主義者たちと、人間としての尊厳を守ろうとする若者たちの対決という大きな構図の中で、恋愛感情や友情、怨恨や憎悪、利己主義、組織の主導権争いといった人間関係が絡み、物語は必然的な方向に進んでいく。
様々な価値観が様々な場面で衝突する映画で、登場人物はそのたびに決断を迫られる。ウィルスに感染した登場人物二人の行動の対比もテーマのひとつだ。ラストに二人と主人公の戦いが連続し、作品の見どころになっている。
家族第一主義のアメリカ映画らしい世界観が底流にあるものの、様々な考え方の人間が交錯する立体的な構造の作品で、人類の行く末についての問題提起にもなっている。なかなかの傑作だと思う。
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