「ブルジョアジーの利益=プロレタリアートの搾取」マルクス・エンゲルス kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)
ブルジョアジーの利益=プロレタリアートの搾取
非常に単純な構造であった産業革命時代のヨーロッパ。封建制から自由を勝ち取ったブルジョアジーであったが、今度はそれが労働者階級から敵対するようになった。この映画ではマルクス、エンゲルスの共著である「共産党宣言」を著述するまでの若き二人とその家族を描いた作品ではあるが、実に興味深いストーリーだった。それまで、著述までの経緯なんてのも知らなかったし、二人の天才が偶然書いたんじゃないかと思ってたほど・・・
労働運動なんてのは現代とは違い、当時は自然発生的なものだったのだろうと思われるほど、搾取の非道さも少し描かれていた。工場では生産のため昼夜問わず、過酷な勤務内容で怪我人続出。そんでもって怪我をして使い物にならなければクビ・・・。そんな工場主の息子であるエンゲルスが労働者の立場とは違った目線で調査し論文を書く。いつの時代にも階級の違ったところから心強い同志が生まれるものだ。
そうして出会った二人の男。イギリスの“正義者同盟”という組織を利用するのだが、マルクスは「これから英語を覚える」と言ったところも印象的。映画を見てたら、ドイツ語、フランス語、英語と、どこでどう使い分けてるのかわからなくなってしまいました。
金がいつも無いことから、生活のため雑誌に投稿したりして銭を稼いでいるマルクス。大義を忘れるなとはっぱをかけるエンゲルス。さらにマルクスはちゃんとした思想家でさえも論破して追放するような口論も得意だったようで、利用するところはちゃんと利用する。プルードンなんていつも担ぎ出されていた。気持ちがよかったのは暴力革命を否定して、理論武装で論戦するところ。
あとは二人とも内助の功という面が際立っていた。いい奥さんたちだな~なんて、夫婦の理想像を見た気分。ただ、エンゲルスの妻は妹に彼の子を産ませるなどと言ってるのはびっくり。
現在ではしっかりした労働基準法があるので、いつの時代にもある階級闘争は激化しないが、働き方改革法案や外国人労働者受け入れにより今後は情勢がどう変化するのか不透明。さらに年金2000万円問題も明るみに出て、経済状況は悪化の一途を辿ることが予想される。19世紀の共産主義なんてのは歴史的にみれば自然発生的だったんだろうけど、情報化が進んだ21世紀はどうなるんでしょうかね・・・
労働基準法はたぶんザルです。また非正規雇用の労働基準は全く持って皆無に整備されてません。エンゲルスの妻が妹に子供を産ませるは確かにぶっ飛んでましたね。共産主義は大いに参考になり、私は北欧福祉国家などを目指してほしく考えています。あまり詳しくは知りませんが。