「贔屓目の入った鑑賞記録」平成仮面ライダー20作記念 仮面ライダー平成ジェネレーションズ FOREVER ハッピー・ホーガンさんの映画レビュー(感想・評価)
贔屓目の入った鑑賞記録
できるだけ事前情報を入れないように努めて臨んだ公開初日。あのサプライズには大いに驚かされました。しかし、そのサプライズ以降、まだあるんじゃないかと期待して気もそぞろになってしまい、集中できなかったのも事実。もう一度フラットな気持ちで鑑賞したいと思い立ち、年明けに二回目を鑑賞しました。
本作のストーリーはとにかく時系列が複雑で、考えても考えても「?」が浮かぶばかり。一時期の春映画に比べれば完成度は高いのですけど、平成ジェネレーションズの中では大味な部類に入るかと。
しかし本作の魅力はストーリーの齟齬を補って余りある「エモさ」であると考えます。平成ライダー20作分の想いが、間違い無く、これでもかというくらいに込められています。そのエモーションの勢いで「細けえことはいいんだよ!」と押し切る。これに乗れるか乗れないかが本作の評価にダイレクトにつながってくるのではないかと思います。
映画オリジナルキャラクターのシンゴとアタルも、僕としてはとてもいいキャラクターだったと感じています。シンゴの弟への想いはグッときたし、アタルの現実に対する諦めは『ウルトラマンサーガ』におけるタイガ隊員のことを想起しました。
歴代作品の中でも屈指のアクロバティックな着地を見せたビルド。ジオウでの客演が少し残念だったためにどうなるか心配をしていましたが、紛れもなく一年間追い続けたTVシリーズの彼らであったため心底安心しました(本作の戦兎と龍我はジオウに出てきた二人とは別人だと考えてます。)何より桐生戦兎の先輩感といったら、もう立派なレジェンドライダーでした。「世界を作り直す」「造られたヒーロー」この設定が今回の物語にベストマッチ!犬飼くんの堂々たるお芝居も相まって、後輩に道を示す先輩としてこれ以上ないかっこよさを見せてくれました。それを受ける後輩ジオウも純粋さと明るさが引き立っていて大変良かったです。
クライマックスの怒涛の連続ライダーキック。ライダー総出のライダーキックは見慣れたはずなのに、なぜなんだろう、胸がいっぱいになりました。三人まとめてとかじゃなく一人一人やってほしかったとか、響鬼とカブトが飛び蹴りするのって違和感あるとか、そんなことはいいんです。些細なことです。クウガのキック前の構えって、掌じゃなくて手の甲が前の方に来るんじゃないっけとか、重箱の隅をつつくようなことは言いません。フィニッシュの大爆発の絵面を観れば、「ありがとう!!」と言いたくもなります。
余談ですが、今回はかっこいいアクションよりも印象的な止め絵が多かったように思います。先述した最後の大爆発もそうですが、爆発を背に微動だにしないカブトや19年前さながらのバイクアクションを見せるクウガなど、かっこいい場面がいっぱいです。
一見様お断り感は多分にあると思うし、全ての作品に対してのフォローが行き届いているとも言えない。ましてやストーリーはツッコミ始めたらキリがない。でも、平成ライダーの集大成を見せてやるという気概にあふれた作品であることには違いないと思っています。