「鑑賞記録+雑記」劇場版 仮面ライダービルド Be The One ハッピー・ホーガンさんの映画レビュー(感想・評価)
鑑賞記録+雑記
本日ついに最終回を終えた仮面ライダービルド。もうじき公開が終わるだろう夏映画を振り返るとともに、このビルドというシリーズを総括したいと思います。
まず兎にも角にもガジェットの多い作品でした。おもちゃの多さはたくさんの親御さんを苦しませたことでしょう。これは私見ですが、ガジェットの多さは視聴者たちも苦しめたと思います。フルボトルやパンドラパネルは言わずもがな、ハザードトリガーやジーニアスボトルといった強化アイテムにまで物語の展開を大きく左右する能力が付与されていたため、何にどのような能力があるのかを覚えていられず、話についていくのが精一杯という感じで(特に物語の終盤)。パラレルワールドを扱うということでただでさえ複雑になりがちなのに、ガジェットの存在はその複雑さに拍車をかけてしまったのではないかなとも思います。
それと“伏線”について。伏線にも上手い下手があります。「そうだったのか〜!」という納得とともに物語への関心を高める上手い伏線と、後出しジャンケン的に提示されて「そんなん知らんし…」と気持ちを盛り下げてしまうかもしれない下手な伏線。残念ながら、ビルドの伏線は後者でした。劇場版でも出てくるんですけど、テレビシリーズでそんな気配を少しも出していないくせに「実はね…」みたいに出てこられても、「はぁ。。そうですか。。」としか言えないわけで。作り手は丁寧に回収しているつもりなのかもしれないけど、乗れませんでした。
文句ばかり書き連ねてきましたが、明らかに他作品とは一線を画する良さがあったことも事実です。
まず第一に、キャラクターと演者は実に良かったと思います。軽妙さ、コミカルさがた作品に比べても多めだったと思いますが、それもきっと各キャラクターの背負った運命の重さがゆえなんじゃないかと、今では思います。特にライダーの4人なんて、背負ってるものがハードすぎる。普通の人間ならその重みに押しつぶされてしまう人もいるはず。それを「なんのこれしき!」とはねのける前向きな気持ちがあのギャグ描写なのだとしたら、どんなにくだらないギャグシーンでも許せてしまう不思議。 劇場版の主人公追い込み描写は過去類を見ないレベルだと思います。これは勝村さん演ずる仮面ライダーブラッドのザ・悪役感の賜物でもあると思います(普段の頼りない3枚目キャラクターが嘘のよう)。ただ、やられにやられすぎるので子どもにとってはちょっぴり退屈かも。
ビルドの良さもう一つはハッとするような画作りです。はっきり言って上堀内監督回が多いんですけど、大スクリーンでの鑑賞に堪えうる画面をガンガン見せつけられた1年でした。本作でいえば、雨の中にらみ合うエボルとブラッドのどアップとか、ビルドに対して群がっていく一般市民たちを真上から撮ったところとか。テレビシリーズでもあった無音演出も素晴らしかった。仮面ライダーでこんな演出が見られるなんて!と、うれしい驚きがある1年でした。
「見返りを求めない正義」を全うしたビルド。この姿を今の子どもたちはどう受け止めるのだろう。守るべき市井の人々に迫害されようと、恐れられようと、感謝されずとも悪に立ち向かう。かっこいいなとは思います。でも、なりたいかと聞かれれば戸惑います。なれないって答えるかも。でも未来を担う子どもたちの中に「戦兎たちのようになりたい」と声高らかに言える子がいたとしたら、素直に尊敬します。明日の地球を投げ出さない、未来のヒーローを創り出せていたらいいね、ビルド!