「80'sホラーへのリスペクトに彩られた、泣けて泣けてしょうがないジュブナイル」IT イット THE END “それ”が見えたら、終わり。 よねさんの映画レビュー(感想・評価)
80'sホラーへのリスペクトに彩られた、泣けて泣けてしょうがないジュブナイル
前作から27年後、あの惨劇があった小さな町デリーでまた児童失踪事件が頻発していた。そんな折ゲイの青年が不良グループに惨殺される事件が発生、現場には“帰っておいで”というメッセージが。”それ”ことペニーワイズと果敢に戦ったベバリーら“ルーザーズ”のうち、一人デリーに残っていたマイクはそのメッセージはペニーワイズが残したものと直感し今はバラバラになったメンバーに招集をかける。奇妙なことにあれだけの恐ろしい経験をしていながら当時のことをぼんやりとしか憶えていないメンバーは半信半疑でデリーに戻るが、そこでは既に惨劇が始まっていることを思い知らされる。
27年前と現在を行ったり来たりしながらルーザーズとペニーワイズの攻防を描く本作、ルーザーズのメンバーそれぞれの現況と過去のトラウマをじっくり時間をかけて描写しているのでほぼ3時間の長尺となっていますがダレ場のないスリリングな仕上がり。あの手この手で襲い掛かってくるペニーワイズの存在が暗示しているものが何かが明らかになった時、彼らの物語が決して他人事ではなく、日々自分が身を置いている現実と地続きであることに戦慄しました。さりげなくカメオ出演しているスティーブン・キングの怪演も楽しいですが、前作同様80’sホラー映画の傑作群へのオマージュをちりばめながらキング自身が執拗に著作に滲ませる自身のトラウマもしっかり拾い上げている脚本も見事。オフビートなギャグと凄惨な殺戮が綯い交ぜとなったホラー映画でありながら実は至極真っ当なジュブナイル、子供の頃に散々いたぶられた経験がある人は泣けてしょうがないんじゃないかと思います。ちなみに私は号泣しました。