心と体とのレビュー・感想・評価
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【透き通るような白い肌のコミュニケーション不全の美しい女性と孤独な中年男の愛を描く、静謐な物語】
イルディコー・エニュディ監督が18年振りに発表した長編ハンガリー映画。
マーリアを演じた、アレクサンドラ・ボルベーイの”漂白感”が圧倒的な静謐な美しさで、この作品の世界観を支えている。
マーリアが働き始めた精肉工場の片腕が不自由な上司エンドレとマーリアの不器用な恋を”雄雌鹿”の山中での姿を象徴的に絡ませて描き出す。
冒頭と、それ以降随所に現れる雄雌鹿のモノトーンに近い映像が秀逸。
コミュニケーション不全故、漂白の肌の、マーリアの手首から流れ出る鮮血・・。
”ローラマーリング”の”What He Wrote”が流れる映像の儚さ、美しさは比類がなく、何故か落涙してしまった作品。
イルディコー・エニュディ監督の独特な世界観、映像に圧倒的されたとても好きな静謐な美しさを醸し出す作品でもある。
<2018年8月14日 旅先のミニシアター"京都シネマ"で鑑賞>
無残な失敗作。
途中までは男女の心理サスペンスかと思いましたが、最終的にはハッピーエンドの恋愛ドラマに着地。意味ありげに挿入される鹿の画像、あれはいったい何であったのでしょう。バスタブでの痛々しい自傷行為、あれはいったい何であったのでしょう。思わせぶりな映像全てが、今となっては、徒労の源です。ベルリン国際映画祭金熊賞受賞が悪い冗談にしか思えません。観終わった後、ここまで怒りが込み上げてきた映画も珍しいです。
ああ、虚しい!
生きる
生命は生まれて死にゆくもの。牛肉も血も愛もセックスも、全てが生命の営みと死から産み出されるものです。そんなこと普段は全く考えないけれど、だけど見えないものに、気がつかないものに、私自身が生かされているのだ。生命に「勝ち組」「負け組」も関係ない。圧倒的な生命の存在の中では、アスペルガーも障害も何でもありなのです。
痛々しい陶酔劇
食肉処理施設での解体、誤解から来る独り善がりの自傷行為、痛々しいが、生きることこそに意味かあると考えさせられる。
しかし、共通の夢を見ることで年齢差関係なく恋愛感情にまで発展するというのが、ちょっと非現実的。主人公の男も急に言ってることを翻したような他の女へとる行動も共感できず。
最後の食卓シーンも何ゆえ敬語?
ショウウインドウのポケモンぬいぐるみでクールジャパンが実感できたのがプラスかな。
白雪姫
絵が綺麗。
照明が良い。
カット割りもザクッとしてて好き。
ヒロインの演技力が◎。
観客をゆっくり感情移入させる。
コメディなシーンもあるが、
淡々としてて悪ノリ感はなかった。
監督は女性だったのが意外。
これがハンガリーで大ヒットって凄い。
地味といえば地味なのに。
ラストが難しい。
男は夢を見ていたんだろうか?
見ていないとしたら、質問するだろうか?
男だけ見ていたとしたら?
この後の二人は?
もう1回観るかなあ…。
いかれてる映画でした
映像は綺麗でムードもあり、上手な監督や撮影だなあと心から思う。
一方で、同じ夢を見る二人が惹かれあっていくというお話自体は、全然入り込めないまま終了。向き不向きってあるんだなあ。あと、やっぱり血は苦手。女性向き?
映画のレベルとしては高いと思います。さすが金熊賞。
ファンタジーのようなリアル
今日来た三本の中で一番良かった。
コメディー的な主人公の女の子のまっすぐさが良い。
英語の映画に慣れてるせいかハンガリー映画だとパンフを読んでわかって。へぇーって感じだった。
ハンガリーの食肉工場の現実にファンタジーのような鹿の夢を融合させた本作。
面白かった。
観終わったあとに無表情になる。 そしてその評定のまま”頑張らねば”って少し励まされる。じんわり良い映画。
がっつりラブストーリーかと思いきや、ヒロインの人間成長的な側面も強くて良い意味で裏切られた。愛だけではない。
前半は食肉処理場の生理的な不穏さと共通して見る夢の謎/ミステリーな要素の緊張感でひっぱる、がめちゃくちゃ惹き込まれるわけではありませんでした。
しかし中盤からヒロインのマーリアが変わっていく……いや変わろうとしていく描写が始まってからが素晴らしい。
マーリアは人とのコミュニケーションのとり方がわからない傾向がある。前日に会話のシミュレーションをしたり、ルールから逸脱できなかったりする。
そんな自分の個性をしっかり認識して、人に相談して、自分で変えようとして変化していく。その様子がステキ。
他と違う人だって、それを認識して努力してるんだ。そのために人に相談してもいいんだ。
そんなことを教えてくれる映画。
変わっている人をシリアスとコミカルを含みながら描くのはNHKにようこそ!を思い出した。
ただシリアスとコミカルのバランスは反対かな。本作はシリアス/アート的な側面が強い。
ここらへんが日本と海外の映画/エンタメの違いだなぁ。邦画ではこんな作品にはならない
ラストの朝のシーンの意味は……なるほど、人生ですな。ヨーロッパ映画らしい。
昼のシーンが多い前半から夜のシーンが増える後半。なんだか映画全体で1日だった感覚。
人生全部じゃなくて、人生のちょこっとを切り取った物語なのかも。
ラブストーリーであるし、”人生”、”生きるってこと”はどういうことなのか教えてくれる映画。生きづらく感じてる人ほど響きそう。
ポスターなどの印象ほどは重い/暗い作品ではなかったです。軽い作品でもないけど;そういう意味では人生ここにあり!にも近いかな。
あと夢に現れる鹿の神秘性には目を奪われる。鹿の顔ってすごいな。神様みたいだ。目と毛並みを見ているだけで体の血がドクっと脈打った。
あと演技が完璧。CG?
私には合わなかった!
予告編の鹿の映像が美しくて、
同じ夢を見る男女と言うのも如何にもヨーロッパ映画的で
惹かれたし…とりあえずそこに星一つ。
他の方の評価は高いけど
私の性分として、
自分が好きになれない人物に主人公が恋をすると、
そこで拒否反応を起こします。
この映画の男優さんのビジュアルが全く好きになれないタイプ!
でもでも、見た目はダメでも、
その役柄に良いとこがあれば惚れる気持ちが解るんだけど、
冒頭から、相手の女性を男目線で見てる感がバリバリで
そう言うのは男性の習性で仕方ないのかもしれないけど
女性が初出勤の日に、早く職場に馴染んで貰う為と言いながら
社員食堂でいきなり真正面に座って声をかけて来る上司って!!
イタリア男の様な陽性な女好きは許せるんだけど
正反対のなんかヌル~っとした空気感で~。
私的にはもう、気持ち悪いパワハラ親父!でしか無かったです。
そんな親父に自分の夢を知られたく無い!ここでシャットアウト!
女性向きの映画では無いかも〜
月に10本程、映画館で映画を観る中途半端な映画好き的には
鹿の映像が繊細で美しくてそこはおとぎ話の様なんだけど
食肉屠殺場と言う、紛れも無い死の工場との対比が
夢と現実の落差として結構凄い感じです。
そこに面接に来た
血なんか全然平気と言い放つ若者に面接官が
「殺される牛への哀れみも無い人は、いつか心をやられてしまう」
とか
人に触れる事、触れられる事に精神的な嫌悪を抱く女性主人公が
やがて殺される牛に触れて、
命の感触や温かみに慣れようとするシーンは
なにかとても象徴的な気がしました。
心に引っかかったのは、そこだけ。
若くて美しい女性が、
愛すべき美点の見つからない中年に惚れてしまうと言う脚本は
単に男の妄想を形にしただけの
マスターベーション的な作品に思えて全然好きになれないんです。
だから私の評価は低いです。
@もう一度観るなら? 「二度と観たく無い!」
5/16追記
この映画がまさかの女性の脚本家兼監督でちょっと信じられない!
好みの差なんだろうか?
兎に角、私には合わなかった!
連続する写真作品のような固定フレーミングの美しい映像
かなり変わった設定だが、まぎれもなく惹かれあう男女を描いたラブストーリーである。
2017年の第67回ベルリン国際映画祭の最高賞、"金熊賞"を受賞を受賞しただけてなく、先日の米アカデミー賞外国語映画賞にもノミネートされている。日本では小規模な公開だが、世界的評価の高い作品である。
ブダペスト郊外の食肉処理場が舞台。毎日、食肉牛が屠殺されている。そこで欠員補充のため臨時採用された代理職員のマーリア。若く美しいが、人間関係が苦手で孤独な独身女性である。また上司の部長エンドレは片手が不自由な中年男性で、バツイチの独り暮らし。エンドレは職場に馴染めないマーリアを気にかけている。
そんなある日、職場で起きた事件がきっかけで、2人がたまたま同じ夢を見ていたことが明らかになる。夢の中では"雌雄の鹿"が登場して、その風景も行動も一致している。その夢は一晩だけでなく、翌日以降も夢でつながる2人は、徐々に近づいていく。
職場も私生活も孤独で不器用な2人は、いわゆる"面倒くさい部類の人間"かもしれない。マーリアは美人なのに恋愛ベタな"こじらせ女子"である。そんな2人の様子が滑稽で、ほのぼのとする。
牛の屠殺は、それを食肉として活用する"つながる生命"の比喩であり、淡々と血が流れる風景がたびたび使われる。雌雄の鹿、人間の男女の営みも"生命"の象徴である。
鹿を捉える映像が美しい。高画質な映画である。計算され尽くしたフォーカス移動は、実にプロフェッショナルな仕事だ。
固定カメラで被写体を捉えるフレーミングが印象的。ほとんどパン(レンズを振ること)を使わず、定まったカットはひとつひとつが美しい。まるで連続する"写真"を見ているような完ぺきな芸術性に唸る。
そんな監督は、18年ぶりに長編を手懸けるハンガリーのイルディコー・エニェディ。約30年前のデビュー作品「私の20世紀」(1989)は、カンヌ国際映画祭カメラドール(最優秀新人監督賞)を受賞している。新作が18年ぶりになった理由は、予算をはじめ、単に製作条件が揃わなかっただけらしいが、久しぶりで"最高賞"というのも凄い。
(2018/4/25 /新宿カリテ/シネスコ/字幕:西村美須寿)
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