「妻がブチ切れた後の言動は、いっそ爽快」天才作家の妻 40年目の真実 Teiranさんの映画レビュー(感想・評価)
妻がブチ切れた後の言動は、いっそ爽快
スウェーデンとアメリカとイギリスの合作映画
邦題が俗っぽくて損をしている
原題のThe Wifeのままの方が内容にあっていると思う
ノーベル賞を受賞して、メダル授与式やあちこちのパーティーなどに
引っ張りだこの浮気者のさっか小説家の夫の妻が実は夫のゴーストライターで・・・
妻の心の機微がメインの話
71歳とは思えぬ知的な美貌のグレン・クローズの演技が凄い
でもたまに、何を考えているのかわからない
ぼうっとした表情になったのが少し気になりました・・・
集中力が切れたのかな
後は、役を役と思わせない真実味のある演技で好演
女性目線で見ると、共感できる部分が多く人物としても魅力的
略奪婚ですけどね・・・
ジョゼフ役のジョナサン・プライスも、
発想はいいけれど小説家としての技量がおいついていかなくて
才能豊かな妻に対する劣等感から浮気を繰り返していて
なんだか頼りなげな夫を上手く演じている
夫を立てる、って日本人っぽい感覚
そしてスピーチの度に、夫が妻に感謝の言葉を捧げるのは
あちらの人の感覚っぽい
最初は夫のスピーチを、複雑な心境ながらもにこやかに
聞いていた妻ジョーン
ジョゼフ「妻は(小説を)書きません」( ー`дー´)キリッ
の不用意な一言でキレる
そりゃあ腹立つわ
ずっと、夫の力不足の小説を形あるものにしていたのは
彼女なのに
ふたりが若くてジョーンがジョゼフと知り合った頃の話が時々回想シーンで
入るのですが、当時は女性が小説を書いても、内容の
良し悪しに関わらず世間的には認めてもらえない時代だった
・・・だから、ジョーンは着想は優れているけど筆力に欠ける男の
妻になり、ゴーストライターになる事を選んだ・・・
実質的には「主夫」をやっていた夫
子供たちが成人するまでずっと事実を隠しおおせていたというのは
無理があるんじゃないかと思いました
小説家志望の息子がまた、女漁りこそしないものの
父親とイメージ被るのね
しっかりもののお母さんであり、妻であったジョーンが
ブチ切れて後の言動は、あぁわかる~わかる~その気持ち
のオンパレードで、いっそ爽快なほど
脚本が女性だそうで、よく女心をわかっている
前妻に対するジョーンの気の使い方も、自然で良かった
イヤミっ気がなくて
浮ついたダメ男としっかりものの女のコンビって
意外とよく見かける
お互い、必要とし合っているんだなきっと
依存関係とは思いたくないけど・・・
ラスト、あんな終わり方で、
ジョーンはその後、どうしたいのか
何か付き物が落ちたようにさっぱりしているようにも思える
立場は「ノーベル賞をとった夫の妻」のままで亡き夫を立てて、
今後は自分の名で執筆活動を続けていくのかな
そうだといいな、と思いながらエンドロール観てました