劇場公開日 2019年1月26日

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「夫婦の秘密は早々に明かされるが、妻の内面こそが核心」天才作家の妻 40年目の真実 AuVisさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5夫婦の秘密は早々に明かされるが、妻の内面こそが核心

2019年1月29日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

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邦題の「真実」を、作家とその妻が隠し続けてきた秘密だと考えないほうがいい。観る前から予想がつきそうな隠し事だし、序盤でほのめかされ、中盤でほぼ明示的に描かれるからだ。

本作のすごいところは、授賞式のためストックホルム入りした妻の心の動き、その見えざるダイナミクスを終盤の重心に置いたことだろう。いやむしろ、映画全体の重心かもしれない。40年間守ってきた秘密も、受賞作家の浮かれた言動も、晩餐会の日に妻が何を思い何を決断するかを導くための壮大な伏線と言ってもいい。

そんな主人公の揺れ動く心理を繊細に的確に表現したグレン・クローズ、7度目のオスカー候補だそうで、そろそろ受賞させてあげてもよいのでは。親身な態度で夫婦の秘密に迫るクリスチャン・スレイターの秘めた狡猾さが良いアクセントになっていた。

高森 郁哉