人魚の眠る家のレビュー・感想・評価
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鋭く重いテーマだが、堤幸彦監督作としては上々
当たり外れの落差が激しい堤幸彦監督、今回はかなりよかった(ちなみに○は本作と同じ東野圭吾原作の天空の蜂、イニシエーション・ラブ他。×は真田十勇士、BECK等。あくまで私見だが)。
原作のテーマの鋭さも成功要因だろう。臓器移植にからんで脳死か心臓死かの選択を家族が迫られるという日本の現実、医療関係者やそうした経験をした身内がいる人以外はほとんど知らないだろう。
次第にホラー調を帯びる演出も的確。黒沢清監督作の常連、西島秀俊のどこか空虚さを感じさせる存在感(反語めいた表現だが)も確実に効いている。篠原涼子は演技派という印象がないのだが、今回はかなり健闘したのでは。ラスト近くのハイライトでは子役たちも含めシーンにいる全員が熱のこもった名演を見せる。
難を言えば、音楽がやや過剰だったか。
色の使い方に拘りを感じる。 迫真の演技に興奮。 時々抜群に良い構図...
涙が止まらない
東野作品を何十冊か読んだ中で、この作品と「時生」そして「ナミヤ雑貨店の奇跡」は涙を誘う作品だと思う。
ナミヤ雑貨店の奇跡は、その構成要素が多すぎて映画でははしょられた部分があって、最後の感動シーンにやや物足りなさを感じた。これが私が今までこの「人魚の眠る家」を見なかった理由だ。しかし見てよかった。
生死判断とは面白いもので、「社会死」以外はすべて医師によって「死」は確定される。
しかし脳死と死は、作中でも言っているが臓器移植の希望とその後行われる脳死判定によって決定する。
生きているのかもうだめなのか…
この作品が投げかけている大きなテーマだ。
最初からこの問題を医師から問われ、やり場のない狼狽状態となる。
しかしミズホの手が動いたことで「この子は生きています」と力強く答えるのだ。
こここそが、まず最初にあるべき思いであり、立ち位置であることが強いメッセージとなっている。
夫がブレインマシンインターフェイスの社長だったことで、研究員の一人がしている電気信号で体を動かす技術に頼り、彼の研究を娘を動かすことで進行させる。
自発呼吸のような横隔膜ペースメーカー。そして背骨に殿筋号を送って手足を動かす装置。
その様子を見た夫は違和感を覚えるのだ。
そして級友に出会い、友人の子供が心臓病でドナーを探していることを聞き、100万円を寄付して募金活動を手伝う。
やがてこのことは妻の癇に障る。妻は「あなたはもうミズホが死んだと思ってるんでしょ。100万の献金はあの時ミズホを脳死判定しなかった罪悪感からでしょ」というが、おそらくは図星なのだ。
こうしてミズホのことについてもう一度話し合うことになる。夫婦間に大きな亀裂が入る。そのとき電話が鳴り、心臓病の女児が死んだこと知らされた。
ミズホのことについてさらに考える時が来た。亀裂が入っていたのは夫婦だけではなく、長男、妹とその子、母ともそれぞれ少しずつ意見の差が重なり続け、長男に至っては学校でのいじめのネタにされていたのだ。
生きているのか、死んでいるのか? これは、国が決める…?
すべてのひずみがまるで妻一人に集中してゆく。包丁を持って訴える妻。
「この子を殺せば殺人か?」「この子は生きているのか?」「でも脳死だ」
そしておぼれた原因が明かされるが、それはもうどうでもいいことなのかな…
やがて家族で抱き合って泣きじゃくる。
研究員の星野は、静かに家を出て彼女の仕事先へ向かった。
「人の心」 科学がいまだ介入しようとしていないものに、その大きなものに触れたことで、彼の意識が変化したのだ。
ミズホの様子は変わらないまま時間だけが過ぎてゆく。
ある日家族で出かけた先で、あの日ミズホが絵で描いた場所にたどり着いた。
長年の後悔が癒された瞬間だ。
そして間もなく、妻は夢を見る。ミズホが目を覚まし「お母さんありがとう。いままでありがとう」彼女はアラームで目覚める。
病院では延命治療の継続について薬品投与する提案をされたが、二人は臓器移植を希望した。
窓から差し込むまぶしい光が印象的なシーンだ。
時は過ぎ、心臓移植を受けた少年があの家に向かう。
向かわせたのは間違いなくミズホの魂だ。
その場所には何もなく、広大な敷地があるだけだ。
やがて少年の視点は空に浮かびしばらくはその土地を映し出し、やがてどこかほかの場所へ移動していく。
もうそこに人魚はいない。だから人魚の住む家もいらない。ミズホの魂は大空へと旅立ったのだろう。
この作品の素晴らしさは、人の命とお別れするには「これだけの時間がかかる」ことを意味しているのだと言っているように感じた。
そしてお別れに必要な、考えざるを得ない要素がたくさん積み込まれているのだ。
普通の死は割と短く、だからその後のお別れする気持ちにも時間がかかる。
生きているのか 死んでいるのか
法的なことはある。しかし、科学でも測れない人の心の問題は、紆余曲折を経験しながら、納得するまで右往左往してもいいと思う。
いい作品だった。
本人の意志、という厄介な代物
多分、意図された事ではないのだろうと思う。この映画を観た人に感想を聞いたり、他のレビューを見たりすると意外と全然違うところが気になっているみたいなことは。
ある人曰く、「何でもお姉ちゃんが中心で弟が可哀想」。ある人曰く、「自分なら意思を持たなくなった時点で死とみなしてほしい」。またある人曰く、「自分だって子どもがあんな状態になったら同じことをするかも」。
この映画を観た時、誰に一番感情移入するのか。誰のことが「自分ごと」なのか。面白いほどバラバラなのが本当に興味深い。
かく言う私は映画を観てる最中、あっちへフラフラこっちへフラフラ、誰か一人には定まらなかった。
それくらい登場する関係者たち全員に共感するポイントがあったし、どの立場になる可能性も感じたのだ。
と、同時に物語の中心である瑞穂が脳死状態なので、瑞穂に感情移入しづらいという側面もある。
瑞穂の意思や感情はすでにこの世になく、周囲の出来事を感知しリアクションすることはないのだから。
もうひとつ、興味深いのはこの状況を作り上げているのはそれぞれの「罪悪感」であるということだ。
罪悪感が深ければ深いほど「瑞穂が生きている」ことに固執し、罪悪感の薄い人物から「この状況はおかしい!」と訴えていく。
罪悪感が人を理性から遠ざけ、罪悪感が人を狂わせる。
色々と興味深い考察はあったが、面白いか?と聞かれたら面白いとは言えない。
感動するか?と聞かれても、ぶっちゃけ感動はしない。
これは自分の罪悪感を抉ってくる映画だ。
「そっとしておいてくれ」と言う他ないだろう。
心に焼き付いて離れない作品。号泣不可避
これは黒沢清監督に撮ってもらいたかった感
あいことば
見てて苦しくなる
ずっと重い
誰も答えが出せないでだろう、脳死に向き合った作品。
それを東野圭吾らしくヒューマンミステリーとして仕上げていました。
我が子を願うばかりに、どんな物にでも縋り付くかのような家族。
それは観客全てに選択を迫られるような厳しさがありました。
物語はこの答えの出ない問題の前に、ずっと重い空気が漂います。
また、同じような年の子を持つ親として、その心情は痛いほどわかるんですよね。
その、子を思う愛情は徐々に形を変え、それは愛なのか、ただの止まれない狂気なのか、そんな何かに変化していきます。
この段々と現実から乖離していくかのような様子を、主演の篠原涼子が実に良く演じていました。
クライマックスのシーンでは子役も含め、皆緊張感のある良い芝居だったと思います。本当、見入ってしまいましたから。
終盤からは見ていてずっと苦しく、ラストの未来に繋がる感じにやっと救われた気持ちになれました。
本当、重かったです。
考えずにはいられない もしも、もしも自分の子供が と 自分の身体だ...
脳死に真正面から挑んだ衝撃作
凄い作品に出逢ってしまった。これ程の作品とは思ってもみなかった。本作は、脳死という難問に真正面から挑んだ衝撃作である。
会社社長の播磨和昌(西島秀俊)と妻の薫子(篠原涼子)は離婚寸前で別居していたが、長女の瑞穂がプールで溺れ、意識不明の重体となる。担当医からは脳死状態にあると告知される。二人は瑞穂の脳死を受け入れられず、和昌の会社で開発中の最先端技術に望みを託す。瑞穂は意識不明のまま延命していくが・・・。
回り道をせずに、冒頭から一気に核心の脳死問題に迫っていくので、ラストまで緊迫感が途絶えず、画面に釘付けになる。瑞穂に施される先端技術治療は、徐々にエスカレートし常軌を逸していく。生の尊厳を踏み越えていく。狂気の沙汰とも言える行為だが、子供を失いたくないという薫子の強い母性ゆえであり、彼女の必死の想いに胸が締め付けられる。
脳死が人の死でないことを前提に、死んでいないのだから先端技術でサポートしたらこうなるという極限を敢えて描いて我々に鋭い問題提起を仕掛けている。
薫子を演じる篠原涼子は、今まで現代的な役柄が多かったが、本作では、脳死は人の死であるという考え方を受け入れることが出来ない薫子の想いを鬼気迫る演技で表現している。親にとって子供の存在がどういうものなのかを表現している。
全編を通して、脳死に対して、曖昧な玉虫色ではなく、ストレートな台詞が飛び交う。登場人物達はそれぞれの立場で真剣に脳死に向き合う。これ程、脳死に対して真正面から取り組んだ作品を観たことがない。
紆余曲折を経て悩み抜いた二人が辿り着く結論には、胸が熱くなる。人の死について考えさせられる。脳死は人の死という考え方は医学的根拠に基づいている。しかし、機械に生かされるとはいえ、心臓が鼓動し、肌の温もりがある人間を死んでいると理解・納得するのは至難であることを本作は鋭く問い掛けている。辛く答えのない難問だが、それでもなお考え続けるべきだと痛感した。
篠原涼子と西島秀俊の娘はプールで溺れた。 坂口健太郎の研究する技術によって娘は脳死のまま成長していた。 篠原涼子はそんな娘の世話をすることに没頭する。 西島秀俊はそのような現状に疑問を抱き始める。
動画配信で映画「人魚の眠る家」を見た。
劇場公開日 2018年11月16日
2018年製作/120分/G/日本
配給:松竹
篠原涼子
西島秀俊
坂口健太郎
川栄李奈
山口紗弥加
田中哲司
田中泯
松坂慶子
大倉孝二
堤幸彦監督
東野圭吾原作
篠原涼子と西島秀俊の娘はプールで溺れた。
植物人間になってしまう。
坂口健太郎の研究する技術によって娘は脳死のまま成長していた。
篠原涼子はそんな娘の世話をすることに没頭する。
西島秀俊はそのような現状に疑問を抱き始める。
しかし篠原涼子の行動はエスカレートしていき、
周囲と軋轢が生じ始める。
篠原涼子の狂気は警察が出動する事態にまで発展する。
別れのシーンには胸が熱くなる
。
満足度は5点満点で4点☆☆☆☆です。
唯一人間の執着心が綺麗に見える作品
私はこの作品には母親と子供中心に世界が回っているような世界観に気に入りました。儚い感じが魅力的でした。この方の作品はまだまだ沢山ありますが、私はこの作品が一番好きです。この作品はあまり有名という程でもないし目立ちにくいけれども箱を開ければあっという間に見る人に影響を与えるでしょう
人間の執着心が恐ろしいのがよくわかる映画です。ゾッとしてしまう場面もありました。執着は醜いのにこの執着は美しく感じてしまう。だけどそんなところも美しく感じてしまう この作品はおかしい不思議な力がある ストーリで人を魅了させる力 私はそんなのに引きずり込まれる感覚でした。日本だけではなく外国の方にも見て欲しい彼ら彼女らは恐らく号泣して人が一体なんなのかをもう一度考え直すだろう
子役かわいすぎる
自分だったら
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