アナと世界の終わりのレビュー・感想・評価
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いい意味で裏切られた
予告編からはおバカ青春ゾンビミュージカル映画という雰囲気だが、なかなかどうして、映画が進むつれてシリアスな場面もあり正統派ゾンビ映画のテイストが増していく。ゾンビに噛まれしまった人間と助かった人間との生と死のコントラストがぐっとくる。そして、楽曲がいいし、歌も上手いから見ていて飽きない。
お父さんが歌ったのには驚いた。
娘を持つお父さん必見、血塗れなのに爽やかで泣ける青春映画
用務員の父トニーと二人暮らしの高校生アナ。トニーはアナの進学を望んでいるがアナは海外に行きたくてせっせとボーリング場でバイトに明け暮れている。クリスマスイブの朝、幼馴染のジョンがうっかり口を滑らせたせいでアナとトニーは大ゲンカしてしまう。翌朝いつものように登校するアナとジョンは雪だるまの着ぐるみを着た男に襲われる。なんとか撃退した二人は町にパンデミックが蔓延していることを知るが・・・。まぁ最初の数分で解りましたが、これは娘を持つお父さんが観なあかんやつ。最初の一曲目で涙が溢れました、まだゾンビは出てきてないのに。
確かにゾンビミュージカルという触れ込みは間違ってないんですけどそういうもんだと思って鑑賞するとちょっともったいない。まずちゃんとした青春映画だということを押さえておかないと。どこにでもあるような田舎町で窒息しそうになっているティーンエイジャー達の心の叫びが、かつて彼らと同じ思いで郷里を飛び出した自分のそれと共鳴する。そこが一番の肝。高らかと歌われる楽曲群はどれもキャッチーだしミュージカルパートもキュート、この辺りは『ハイスクール・ミュージカル』あたりにハマっていた層には響くところかと。PG12なので返り血も脳漿も飛び散りまくりなのに不快なグロさは皆無。それでいてゾンビ映画の肝は完璧に押さえていて、特に『ゾンビ』、『ドーン・オブ・ザ・デッド』、『ショーン・オブ・ザ・デッド』に対するオマージュが画面のそこかしこに滲んでいる。大事な人が大事な人でなくなる瞬間に対峙する人々の深い悲しみを幾重にも積み重ねた奥行きのあるドラマは多少舌足らずではあるものの瑞々しくて美しい。優れたゾンビ映画とは優れた人間ドラマと同義であるという持論がまた確かに裏打ちされました。ラストのワンカットなんて永遠の名作『○○』かよ!?って思いましたもんね。これも今年ベスト級の傑作、もちろんそうなるとは思って観に来たわけですが。
今のところ作品のクオリティに比して公開規模極端に小さいのが残念。これは鑑賞した人間が口コミで客増やさんとあかんやつだと思いますので無駄だと思いつつ激烈に推しときます。マジで傑作です。
いろいろ足りない
夏はゾンビ。だけどクリスマス。
青春期のドラマをゾンビ&ミュージカルの手法で描いた意欲作
低予算ながらファンタ系映画祭で話題になっていたので見られるのが楽しみだった本作。
ゾンビ映画としてのスリルは低めだが、ゾンビ映画の基本を踏襲しており、楽しく気持ちの良い味わいだ。
そして猛烈にポップでキャッチーなミュージカルシーン。『ハイスクール・ミュージカル』のような学園テイストの音楽や『ロッキー・ホラー・ショー』を思わせるような曲調等、かなりイケるし脳内リフレインがとまらない(制作陣も気に入ってるのだろう、各楽曲がやや長いが…)。
キャッチコピーでも推されているゾンビ×ミュージカルという点は満足度の高いものだったが、何よりもその青春ドラマの点が素晴らしい。ネタバレを避けるために細かくは言及しないが、物語の展開は青春期の成長のメタファーの如くリンクしており、最後は少しビターな味わいもある。
オリジナルの監督が亡くなり、新たに引き継いで完成させたというバックボーンも踏まえると(まさかの)不意に涙が零れそうになる。
楽しいのはもちろん、非常に豊かな部分があるので、是非オススメしたい作品だ。
? ある意味とてつもない映画。
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