「青春>ゾンビ>ミュージカル」アナと世界の終わり つとみさんの映画レビュー(感想・評価)
青春>ゾンビ>ミュージカル
青春とゾンビとミュージカルという全部盛りは新たなクリスマス映画の傑作を予感させたよね。
だってキリスト誕生の日に人類が終わるかもしれないなんて如何にもイギリスらしい皮肉の効いた面白そうな設定だからね。
しかし始まってみると前半はかなり退屈だった。
なかなかゾンビは出てこないし歌曲もあまり良いとは思えなかった。
何となく、歌いながらゾンビをぶちのめす、なんならマイケル・ジャクソンのスリラーのようにゾンビと共に踊る。そんなぶっ飛んだハチャメチャさを期待していたよね。後半にちょっとだけ歌いながら戦うけれど、明らかにボリューム不足だ。
それでも結果としていい映画だったなと思えたのは、ゾンビでもミュージカルでもなくノーマークだった青春要素のおかげだったのは驚き。
ゾンビ化して人々が倒れていくなかで、正しい事をしろ、人を愛せ、希望を捨てるな、誰かのために事を成せ、最期は穏やかに死ね、等々、シンプルなメッセージが含まれていたね。
ゾンビ化して急に人生が終わるからこそ、本当ならグタグダと説教臭く語らなければ伝わらないこともビシッと一瞬で決まるのは思わぬ効果だと思った。
メッセージを受け取った若者が少し大人になり明日に向かう爽やかさが作品の魅力だが、後ろではゾンビがうごめいてて、ポップなんだかダークなんだかわからん対比が新しいアクセントになってていいよね。
皮肉王国イギリスの一番の皮肉ポイントはこっちだったなあ。明るい未来と世界の終わり。
ああ、キリスト誕生と世界の終わりも同じようなものか。
あとは、予告編で使われているアナが歌いながら朝をむかえるシーンが気に入って観る人は気をつけた方がいいかもしれない。
あのシーンが作品内で一番いいシーンだし、あんな感じのミュージカルシーンもほとんどない。
それでも私とは違って、いくつかのレビューで書かれているように曲が気に入れば充分面白く観られると思う。
歌う場面自体は結構あるからね。