「スペンサーの成長」15時17分、パリ行き 根岸 圭一さんの映画レビュー(感想・評価)
スペンサーの成長
今作でイーストウッド監督が描きたかったのは、スペンサーの成長なのだと思う。昔から問題を起こしてばかりで、何も成し遂げていない。だが人を助けたいという気持ちだけは人一倍持っていた。そんな彼が偶然列車での事件に遭遇して、勇気を出して犯人を止めた。彼の願いが叶った瞬間だった。そこまでの彼の半生を丁寧に描くことで、ストーリーに単なる事実の再現に留まらない深みが出たように思う。彼は、希望の職種に就けたかどうかは大きな問題ではない、それよりも何をするかが大事なのだということを、学んだのではないか。
途中で出てくるヨーロッパの街並みが綺麗なのも良かった。特にイタリアがピックアップされていて、映画を観ながらローマやベネツィアの美しい観光地を堪能できたのが良かった。ただ、場面がいつ切り替わったのかよく分からない(いつの間にかイタリアからドイツにいるとか)箇所がしばしばあり、そこは気になった。
本人が俳優として出演しているというのは事前に知っていたが、自然な演技で違和感は全くなかったところも良かった。
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