「物語は淡々と進んで行く。なのに感情が動かされる。まさに、イーストウッドマジック!」15時17分、パリ行き YuuuuuTAさんの映画レビュー(感想・評価)
物語は淡々と進んで行く。なのに感情が動かされる。まさに、イーストウッドマジック!
2015年、アムステルダム発パリ行きの特急列車内で起こったタリス銃乱射事件をイーストウッドが描いたこの映画。印象としては、物語が淡々と進んで行くように感じられた。にもかかわらず、感動を覚えた。エンドロールを見ながら、幸せを感じるような、喜びに浸るような、なんとも心地よい感情に包まれた。応援しているスポーツ選手が活躍した時みたいに。
生い立ちから知ることで主人公3人のファンになったんだと思う。大人に理解されない子供時代を過ごしてきたのに屈折せず成長してきた人生を知ることで、いつのまにか応援していたのだ。
だから、ヨーロッパ旅行で3人が楽しそうにはしゃいでいる姿は、見ていて微笑ましい、軍人としてうだつが上がらないときは、悔しい気持ちになる。テロが起きた時には、やっつけろという気持ちとともに、気をつけてという心配がこみ上げた。
監督がテロ事件を伝えるためにこだわったのがリアリティを追求すること。本人役を本人が演じ、テロが起きた列車を貸し切り、同じ場所で撮影をしたという。その場にいたように出来事を追体験できたからより感情移入できたんだと思う。
本来なら、子供の頃の話・出会いや、ヨーロッパ旅行の話(特に女の子をナンパするところ笑)なんてなくても成立すると思う。一見無駄だと思われるシーンを盛り込みながら、淡々と物語を進めているにも関わらず、これだけ気持ちを動かされるのはイーストウッドが名将ゆえなのだ。
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