「気恥ずかしくないのかな」15時17分、パリ行き A.Camelotさんの映画レビュー(感想・評価)
気恥ずかしくないのかな
大手柄の顛末を自ら演じて映画になるなんて、気をつけないと有頂天になりそう。フランス最高位の勲章ももらっているわけでそれをまた再現したりと。なぜ本人が演じる必要があるのかが今一つ分からない。映画は映画、事実は事実。境界を曖昧にするのは変な感じ。何が変なのか考えてみると、主人公だけが本人であとのキャストは俳優というのがどうも中途半端でしっくりこない。それに、この映画に全く脚色がないなら実際の当事者が演じても一向に構わないが、そんなことはまずないだろうから、当事者はいくらか事実と異なる演技を強いられたはず。果たしてそんな状況を当事者たちが納得できるのだろうか。映画という脚色OKの世界に実体験した本人が真っ正直な気持ちで取り組めるものか?そこがどうやら変な感じの正体らしい。
それから、子供の頃に問題があっても英雄になれる可能性があるような展開で描かれていたが、だからといって、子供の問題行動を放っておいて良いわけではない。このケースは"たまたま"そうだったというだけで、解釈を間違ってはいけない。…うーん、たまたまこの列車に居合わせた3人がたまたまテロを阻止した以上に意味を見出だしてはいけないような…特に子供の頃のこととつなげちゃいけないような気がしてきた。
映画としては、全く退屈することもなく、事件がよく分かって勉強にもなったし、さすがイーストウッド監督と思う。ただ、そう感心すればするほど、主人公の3人にホントにこれでいいの?と聞きたくなるという……。
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