「実話という完全武装」15時17分、パリ行き ヘルスポーンさんの映画レビュー(感想・評価)
実話という完全武装
「ハドソン川の奇跡」でもちらほらと本人出演や実際のシチュエーションに限りなく近付けるまさしく現実の完全記録のようなことをしていたが、今回もその完全記録さが、主役に本人出演というネクストレベルへと進んだなぁという印象。
ただ映画としてどうか?という評価が非常に難しく、物語は本当のことであるためケチのつけようがない。人の人生に対して「ここが面白くない」なんて言えないし(笑)
映画の話の流れでは、幼少期から運命の瞬間に至るまでの経緯が淡々と描写されている。
幼い頃からシングルマザーの家庭だから子供に問題が起きやすいなどという偏見を受けたり、自由奔放な性格のため周囲の大人から冷ややかな態度を取られたりと、世間のレッテル貼(こうあるべき、こうでなければ変という型にはめようとする風潮)に逆らってきた、戦ってきたという描写がある。だからこそあの運命の瞬間に動くことが出来たのか?というとそうではなく、彼らが幼い頃からの夢であった「人を助けたい」という思いと、軍の訓練を受けていたからこそのような気がするのである。
「アメリカン・スナイパー」ははっきりしたメッセージ性があり映画的な演出もそのメッセージに向かって洗練されていた。
「ハドソン川の奇跡」はクライマックスがチープなCGの検証映像だった(これ以外にやりようもないが)のが少し物足りなかったが、間違えていること・人に対して「それは間違っている!」と上から抑えつけるのではなく、優しく愛がありちょこっとユーモアを交えるという大人な解決方法に感銘を受けた。
本作はというと完璧だしケチのつけようがないし、ラストの当日の映像への繋ぎ方なんて違和感が全くなくすごいのだが、、、強いて言えば味付けがない。映画としての雑味、旨味がないといったところであろうか。なんだかものすごくオーガニックで健康的な料理を食べた後の物足りなさに近い(笑)←私個人の偏見です。
ジャンクフードも好きな私には正直に言って物足りない!!(言ってしまった)