「ラスト30分の緊迫感。運命に導かれた青年達の勇姿。」15時17分、パリ行き 映画コーディネーター・門倉カドさんの映画レビュー(感想・評価)
ラスト30分の緊迫感。運命に導かれた青年達の勇姿。
【賛否両論チェック】
賛:3人の若者達が、導かれるように事件へと至っていく過程に驚かされると同時に、いつ起きるか分からない非常事態に対し、自分ならどう行動するべきなのか、改めて考えさせられる。
否:テロ事件そのものの描写はラスト30分くらいなので、期待しすぎて観ると拍子抜け&退屈してしまいそう。
まず何よりも特筆すべきは、犯人を取り押さえた青年達本人が、自身を演じているという点です。そのため、エピソード1つ1つにも、自然とリアリティが感じられるようです。一方、肝心のテロ事件そのものを描いたシーンはラストの30分くらいで、映画のメインはあくまでも3人の若者達が育ってきた姿なので、事件そのものの過程を期待しすぎて観ると、思わず拍子抜けして退屈してしまいそうです。
それでもよくよく観ていると、スペンサー達3人の決断や行動の1つ1つが、運命づけられているように事件へと繋がっていることに気づかされます。
「もし彼らが酔っ払いに勧められずに、アムステルダムに行かなかったら・・・?」
「もし彼らがパリに行くのをやめて、列車に乗らなかったら・・・?」
「もし彼らが、列車の座席を移動していなかったら・・・?」
考えれば考えるほど、事件を最小限で食い止めた3人の存在の大きさに驚かされます。
そしてフランス大統領が語っていたように、
「危機に瀕した時、誰もが行動することが大切。」
という言葉にも、改めて考えさせられます。いつ何時、誰の身にも起こりうる非常事態に、自分がどう行動出来るのか。そんなことを問いかけてくる作品です。是非ご覧下さい。
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