「ゴジラ信仰」ゴジラ キング・オブ・モンスターズ 終焉怪獣さんの映画レビュー(感想・評価)
ゴジラ信仰
MonsterVerseとしては第3作品目。
この日をずっーーーと待ってました!
映画館にてギャレゴジを6回、
シン・ゴジラを15回
、アニゴジ3部作を各章2回ずつ
鑑賞する位のゴジラファンです!
改めて思うのは前作のギャレス・エドワーズ監督に引き続き、監督に恵まれてる事。
予告にてクロード・ドビュッシー「月の光」やブライス・ミラー編曲「虹の彼方に」、トゥーランドット「誰も寝てはならぬ」等の格調の高いオペラやクラシックを使用したり、
怪獣達をタイタン(巨神)と呼称したり、
インタビューで「この世界において我々こそ外来種。怪獣達が神なのだ(意訳)」と発言したり、
特に印象にあるのが、とある記者の質問への返答。
記者『結局、ゴジラは善いヤツ?悪いヤツ?』
監督『君は人間の道義を神に求めるのかい?』
正にゴジラを神として認識しているからこその姿勢にゴジラファンとして感謝しかありません。
思い返してみればゴジラに怪獣王の称号を与え、
英語名にGODを刻んだのもアメリカ人だった。
実は日本人よりも彼等の方がゴジラを崇拝していたのではないかと思いました。
さて本編の話ですが・・・本当に素晴らしい!
いずれの怪獣もリスペクトを込めてリファインされており、
怪獣達のキャラクター性がしっかり描かれているのも素晴らしいです!
怪獣の戦いは格好良いし、美しい。
だからこの映画はモンスター・オペラなんだ・・・と仰っていたように荘厳な神話のような映画でした。
熱狂的なゴジラファンなので
良かった点ばかりしか書かない事をお許し下さい。
☆人間ドラマ
怪獣シーンを減らさない適度の尺で安心しました。
ギャレゴジは軍人、シンゴジは怪獣対策に奔走する政治家・自衛隊を中心に据えていたので飽きる事は無かったのですが、やっぱり怪獣バトルを見たいのが本心。
とは言え、芹沢博士達科学者チームの物語は良かったと思います。
ラッセル家の家族問題もゴジラに纏わる話で怪獣そっちのけになりませんでしたし。
特に日本人として芹沢博士の想いと行動に胸が熱くなりました。
これにて渡辺謙さんはゴジラから卒業ですが、
最期の台詞が初代のアレで泣きました。
お疲れ様でした!
☆音楽
全編に渡り伊福部昭先生が手掛けたスコアへのオマージュが満載で痺れました。
担当をしたベアー・マクレアリーにも感謝です。
ゴジラのテーマは勿論、モスラの歌までアレンジするとは・・・
ギドラのBGMも正にラスボスと感じさせてくれる禍々しいものでした。
しかもコーラスにちゃんと日本人を起用してくれる粋な計らい。
☆ラドン
監督がゴジラに次いで大好きと公言していただけあってラドン愛が伝わって来ました。
これは厳密にはファイヤーラドンですね。
予告にもあったバレルロールしながら戦闘機・ミサイルを撃墜させて行くシーンなんて格好良すぎて堪らない!
☆モスラ
そのデザインが初公開された時、違和感を覚えたのは事実ですが、アップであの馴染み深い可愛らしい顔を拝めた時に安堵しました。
女性的でエレガントな女神と称しただけに実に神秘的です。
ラドンとの空中戦は圧巻!
☆キングギドラ
今回の怪獣の中で一番神々しく感じました。
ギドラと十字架のカットが、過去作品にあったギドラと鳥居のカットのオマージュだったりと細かい!
ゴジラ同様に体内放射的な全方位攻撃も備え、とんでもない強さに。
生体電流(正確には体の表面に電気を流して空気中の水分を蒸発させて嵐を発生させる)により、ただ其処に居るだけで街を破壊していく様は、
正にラスボスに相応しい魔王!
全方位引力光線、ラドンと空中戦、ゴジラの熱線回避からのカウンター引力光線、超自己再生・・・
設定的にはデスギドラやカイザーギドラ、アニゴジ版ギドラと言ったギドラ種の方が強いのでしょうが、
映像で描かれている分、今回のギドラが歴代最強と思えてしまう!
☆ゴジラ
ギャレゴジを基に初代の背鰭を付け加え、
前作の熱線とは比べ物にならない威力だったりと
他の怪獣と同じく監督の愛を強く感じました!
ゴジラが建造物を破壊しながら突き進むシーンで高速なのに重量感もある所が堪らない!
スピーディーと重量感は両立出来ると怪獣ファンに再認識させてくれた重要な場面なのでは?
ゴジラ復活の際にゴジラのテーマと共に
海より現れて天へ熱線を放つ“王の号令”は紛れもなく怪獣王!
☆オキシジェン・デストロイヤー
公開前からファンの間で様々な考察がされた初代ゴジラを殺した兵器の存在。
ゴジラシリーズに於いて唯一、ゴジラを抹殺出来た兵器。
これを海中に居るゴジラに向けて放つ・・・
まさかデストロイア誕生のフラグか?!
☆核兵器
ゴジラを救う為に核兵器が使われた点は賛否分かれると思います。
特に被爆者の父を持つ芹沢博士に使わせた意味は、かなり大きい。
しかし私は肯定です。
65年前、ゴジラを目覚めさせた兵器が
65年後、ゴジラを復活させた・・・
人類の科学・文明へのアンチテーゼを掲げるゴジラ作品に於いて、この選択は重要。
核兵器は人類史に於いて最も罪深い。
しかしそれを使うのは人間。
核に限らず、あらゆる技術を兵器としてではなく平和の為に使える事を祈ります。
☆バーニングゴジラ
もう公開前から分かっていても、やっぱりこのサプライズは胸が高鳴りました!
バーニングゴジラになってからの無敵状態にテンション爆上がりでした!
☆残されたギドラの頭部
これ完全にメカキングギドラのフラグじゃないですか!
今から妄想が止まりません!
☆エンドロール
ゴジラのテーマと共に中島春雄さんの写真が・・・
何回、ありがとうございます!と言えばいいんですか?!
ここで1つだけ映画とは無関係ですが、
悪かった点を。
☆東宝の問題点
東宝のゴジラ宣伝部メンバーは編成し直した方が宜しいかと。
邦画の悪い部分でシンゴジに無理やり家族愛・恋愛要素を入れようとしたり
アニゴジの制作にゴジラへの熱意が無い監督を加えたり、
更に「怪獣プロレスは無しで」と注文をして「アニメならではの可能性」を狭め、台無しにしたり・・・
前者は庵野監督&樋口監督が突っぱねたから良かったのですが、
後者は東宝の指示通りにした結果が実に残念な結果に・・・
勿論、私は怪獣を観念的に描いたアニゴジは好きですし、あの会話劇も嫌いじゃないです。
ノベライズの怪獣黙示録やプロジェクト・メカゴジラなんて何十回も読み直しました。
それでもあそこまで怪獣バトルを排さなくても良かったのでは?
また日本版主題歌に[ALEXANDROS]起用するのも今の邦画業界らしいですね。
私も[ALEXANDROS]は好きですし、主題歌の「Pray」も普通に格好良いと思います。
ですが字幕版エンドロールは、ゴジラのテーマやモスラの歌を流して締めくくって居るんですよ?
それなのに本家日本が売り出したいアーティストの主題歌を流してどうするんですか?
今の東宝はゴジラをどうしたいのでしょうか?
かつてのように迷走しているようで不安です。
これまで素晴らしいミニチュア特撮で私達ゴジラファンを魅了してくれたのだから
きっとまた素晴らしい日本製ゴジラを世に送り出してくれる事を祈ってます。
最後となりましたが、本当に幸せな時間でした。
鑑賞中に何回、泣いたか覚えてません。
人間ドラマにて人の生き死にだけが泣ける要素じゃないんです。
怪獣達にだってドラマがあり、怪獣達の生き様に心打たれる時もあるのです。
こんな素晴らしい怪獣ドラマを生み出してくれた
マイケル・ドハティ監督を始めとする
スタッフ・キャストの皆様に
心の底からありがとうと伝えたいです。
これは紛れもなくゴジラ映画です!
何故、ゴジラは怪獣王と呼ばれるのか?
その疑問に答えてくれた作品です。
これからも日米で多くのゴジラ作品が、
生まれて来るのを楽しみにしてます!
最後に私事なのですが
映画館で知り合った70歳は過ぎているであろうお婆ちゃんとゴジラ談話で盛り上がりました。
何と幼少時に初代ゴジラを映画館で観たとか!
昨日まで熱中症でダウンしていて今日も本調子ではないとの事ですが、どうしても初日で観たい為に来たそうです。
本当に素晴らしいゴジラ愛です!
ゴジラは人と人を繋げる存在なのだと改めて思いました。