「核の王ゴジラ、怪獣王になるの巻」ゴジラ キング・オブ・モンスターズ りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)
核の王ゴジラ、怪獣王になるの巻
ハリウッド産新生「ゴジラ」シリーズ第2作は、ゴジラに加えてキングギドラ、モスラ、ラドンも登場し、東宝チャンピオンまつりの趣。
ゴジラとムートーと死闘を繰り広げたときから5年。
特務機関モナークの基地では、巨大生物を隔離・管理していた。
そしてまた、クジラたちのコミュニケーション方法を分析した結果を用いて、「オルカ」と呼ばれる巨大生物とコミュニケーションがとれる装置の開発も進められていた。
ある日、中国雲南省の基地で、ある巨大生物を冬眠から目覚めさせる実験のさ中、環境テロリストたちによって装置が奪われ、その巨大生物が目覚めてしまう・・・
といったところから始まる物語で、前作から引き続いての出演は、芹沢猪四郎博士(渡辺謙)とヴィヴィアン・グレアム博士(サリー・ホーキンス)。
巨大生物が闊歩していた古代があり、巨大生物を管理しようとしている特務機関モナークもあり、ということで、前作から引き継いでいる部分もあるが、なんとなく別物的要素も多分に感じる。
それがなんだかよくわからないのだけれど、コミュニケーション装置「オルカ」だとか、世界各地で巨大生物が目覚めるとか、指揮する部隊の指揮所は陸海空と転戦するとか、うーむ、とにかく盛沢山。
盛沢山すぎて、よくわからないところもある。
キングギドラは宇宙生物で、ミステリアス星人が作ったんだっけ?
(ミステリアス星人は出てこなかったね)
モスラは変態生物だが、幼虫からすぐに繭になっちゃったな。
(インファント島ではなく、ウンナン省なのね)
モスラとくれば小美人だけ、出てこないのかしらん?
(と、思ったら、チャン・ツィイー扮するチェン博士が双子だったのね。気づかなかった・・・)
ラドンは、キングギドラを倒す側ではないのかぁ?
(モスラと格闘するとか思わなかった)
と、過去の東宝シリーズに目配せし、オマージュを捧げているのがよくわかる。
オマージュ、というか本家『ゴジラ』で最も重要なシーン、「オキシジェン・デストロイヤー」も芹沢博士によって起動させられるのだけれど・・・
えええ、本家では「原水爆以上に危険な兵器にもなりうる装置」として、その使用の是非を博士が苦悩するのけれど、「原水爆以上に危険な」ってあたりはほとんどなく、結果的に滅私奉公的な感じになっているのは残念。
ま、ゴジラやキングギドラの巨大生物たちを殺すのならば、自らの手で・・・というのはわからなくもないが。
さらに、このオキシジェン・デストロイヤーがほとんど役に立っていないあたりが哀しく、傷ついたゴジラに核を与えて蘇らせようというあたりは、恐るべし「核の威力」である。
で、最終的には「核の親分」ゴジラが、『ライオン・キング』ならぬ「カイジュー・キング」になるわけなのだが、これって、政治的観点では、かなりヤバい感じもしないでもない。
とはいえ、サービス精神満点なので、よくわからないなりにも愉しめたけれども、ね。
なお、第3作は自然界の帝王「コング」との対決(vs核の王ゴジラ、といのも凄まじい)のようだが、第4作は是非とも「環境破壊の象徴・ヘドラ」と一戦交えてほしいものである。