劇場公開日 2018年10月19日

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「お金とは、そして人間とは。身につまされる異色のヒューマンドラマ。」億男 映画コーディネーター・門倉カドさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0お金とは、そして人間とは。身につまされる異色のヒューマンドラマ。

2018年10月24日
PCから投稿

悲しい

知的

難しい

【賛否両論チェック】
賛:消えた大金と親友を探し奔走する主人公の姿を通して、「お金」というものの本質を問うていく内容が深い。人間関係をも変えてしまうお金の怖さや、それ故の本当の意味での友情等、味わい深い人間ドラマが観られるのも魅力。
否:ストーリーそのものはかなり現実離れしているので、リアリティはない。クセのある登場人物達も、好き嫌いが分かれるところか。

 親友と大金が一夜にして消え、必死でその行方を探す主人公・一男。その過程で彼が出逢う、ひと癖もふた癖もある登場人物達との関わりを通して、一男のお金に対する考え方が変わっていく姿に、観ている側もお金について、改めて考えさせられてしまいます。個人的には、藤原竜也さん演じるマネーセミナーの教祖・千住の
「人類はお金を崇める宗教を信じさせられている。」
という言葉や、沢尻エリカさん演じる大金を隠す主婦・十和子の
「人に値段ってあるんだな。」
というセリフが印象的でした。
 そしてそんな一男自身ですら、手にした大金で家族を呼び戻そうとしていたり、一男と九十九が大学時代に訪れたモロッコでの一件等、大切な人々との関係性の中でも、お金が切っても切れないものであることを痛感させられるようです。
 親しかった人々との関係や、己の人生をも激変させてしまう。そんな「お金」というものの存在意義について、否が応でも考えさせられるような、そんな作品に仕上がっています。

映画コーディネーター・門倉カド