「誰もが気になるお金のことを真面目に掘り下げた作品、観ればきっと何か発見があると思う」億男 ホワイトベアさんの映画レビュー(感想・評価)
誰もが気になるお金のことを真面目に掘り下げた作品、観ればきっと何か発見があると思う
正直なところ、殆ど宣伝も見掛けないし、大して期待もせずに(すみません! <(_ _)>)鑑賞したのですが、私のツボに無茶苦茶嵌りました!少し誇張した演出もありますが、筋立てそのものは凄く真っ当で面白かった。そして観終わった後、色々と考えさせられる作品でした。殆どその日暮らしのような生活をしていた主人公・一男(佐藤健)が宝くじで大金を当ててしまう。使い道に悩んだ彼は、大学の落研で一緒だった親友・九十九(高橋一生)に相談するのだが、その九十九がお金もろとも行方を晦ましてしまい、一男はその行方を追う行脚を始める羽目になってしまう物語。九十九の知人を訪ねる中で、一男は、お金に振り回される人間たちの醜さと惨めさを目の当たりにし、そしてやがてお金の本当の価値に気付いてくる。「お金がどんなにあっても欲しい物が手に入るとは限らない」とは全くもって至言。朴訥でうだつの上がらない図書館司書役を佐藤健が好演。そして、吃りながらも訥々と自分の信念を語りかける実業家役の髙橋一生は格別。彼が作品の中で演ずる落語「芝浜」がこの物語のモチーフと重なることを知ったのは鑑賞後でしたが、なんとも粋なお話です。この二人がモロッコを旅する場面があるのですが、観光紹介の映像として観ているだけでも楽しいのですが、実は作品の重要なプロットになっていることは観た人なら分かる筈。それから、神保町の酔の助の場面は個人的にちょっと盛り上がりました。東京出張の際にはちょくちょく訪れるお気に入りの居酒屋さんでありましたので。
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