「この映画は左側の棚に置くかな。焦点がブレブレ。」響 HIBIKI 夢見る電気羊さんの映画レビュー(感想・評価)
この映画は左側の棚に置くかな。焦点がブレブレ。
普段、映画を見ない人が見る分には面白い作品。
表面的なエピソードは面白いけど、全体に取ってつけたような展開で、深掘りが足りないので浅ーい印象になってしまう。
小栗旬の話も、最後のオチのみに使われていて、小栗旬の役柄のオチは全くなし。新人賞の柳楽優弥もなんかモブレベルのオチ。勿体ない。
映画全体として、何が言いたいのか、何がしたいのか、焦点がぶれすぎて映画としてものまとまりを欠く。
主人公の行動原理にも一貫性がなく、喧嘩を売られたから買うだけと思いきや、自分から喧嘩を売りに行ったり、すぐに死のうとしてみたり、でも暴力沙汰の記事は出してほしくなかったり、お前の言葉で語れと言いつつ
自分は暴力を使ったり、脅しを使ったり。支離滅裂。
天才は理解し難い、ってことを描こうとしてるんだろうけど、ただただ凡人の描く天才像という感じでした。
理解し難い人物を凡人が描いたらこうなる、って感じですかね。
どんな変な人でもその人なりの理屈はあるわけだが、この作品ではエピソードのインパクトをつけるためだけに主人公が行動しているに過ぎない。
くだらないことでも、なぜ死に向かう行動をするのか、映画では描かれないし、描く気もない。なぜなら、エピソードが盛り上がればそれでいいから。それ以上でもそれ以下でもない。
そして過剰な正論を吐いて、明らかにデフォルメされた悪人を懲らしめる、勧善懲悪者にすぎない。なんかみていて、現実感はなかった。これを面白がれるのは…
まあ、わかりやすい面白さだけを求めるならこれ。
心を揺さぶるような作品を見たいなら別。
映画としては完成度が高いけど、漫画という媒体を無理やり二時間にまとめてる感じの作品。凡作。
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