「ドラマスペシャル?」劇場版コード・ブルー ドクターヘリ緊急救命 kazzさんの映画レビュー(感想・評価)
ドラマスペシャル?
テレビシリーズと同じ「前回までのコード・ブルーは…」から始まり、
テレビの続きである立ち位置を崩していないことは、潔い。
このアバンタイトルは、
あらすじのナレーションがある訳ではなく、ぶつ切りの過去映像を繋げて、
“前回まで”を観ている人が思い出す手助けをするだけの、
アメリカのテレビドラマの手法を真似ている。
これをテレビシリーズ分やっちゃうから、長い!
初観賞者への説明でないなら、冗長。
大きな事故が2つ起きる。
これが映画的スケールだと宣伝されていたが、
然程スケール感はないし、結局物語はほとんど病院内で進行する。
このドラマシリーズは、
4人の医師と1人の看護師の成長の過程を描くと伴に、
救急医療の中でも現場に医師が出向くフライトドクター(&ナース)という特種な世界を描いた意味深いものだった。
7年の時を隔てて再開した第3シーズンは、
彼らに後輩がついて、指導者として成長した姿が描かれ、
かつての彼らの役回りを新人医師達が務めた。
さて、本映画の主題はなんだったのか?
フライトドクターの重要性、必要性、現場の過酷さ、構造的な問題、従事する医師や看護師達の理想と現実、などは全く描かれていない。
シリーズ初期にはそれがあったのに。
主人公達が成長を果たしたこの段階なのだから、もう一度初心に戻ることが、「劇場版」の意義だと思うのだが。
脚本家が代わったからだろうか、第3シーズンからコンセプトが変わっていて、本映画もその延長。
…続きだから、当たり前か。
とは言え、救急病院を舞台にした群像劇としては良くできていて、
それぞれのエピソードは涙腺を刺激する。
浅利陽介演じる医師は、比嘉愛未演じる看護師との結婚準備を進めている。
これがガン患者の結婚式への布石となり、
やがて病院の中庭での結婚式で大団円をむかえる構成となっていて、良かったと思う。
他のエピソードもそれぞれに感動的だ。
馬場ふみか演じる若手看護師の母娘問題には、山下智久演じる脳外科医師が絡むが、山下が感電して死の危機に瀕する必要があっただろうか。
フェリーの車庫での患者親子のエピソードが改心のトリガーになるのかと思いきや、これは置いてきぼりだった。
成田凌演じる研修医がドナーカードを持って死んだ少年の親への対応に戸惑うエピソードは、泣かせるのだが、いいところを椎名桔平が持っていくという、おやおやの展開。
主人公達のナレーション、かつての上司(故児玉清)からのメッセージの朗読、とどめにお祝いビデオメッセージと、一人語りがだらだらと続くエンディングがくどい。
主人公たちとの本作が別れなのだと思うと、感慨深くはあるが。
結局、エピソード個々は悪くないが、映画作品になりきれていない。
テレビのスペシャルドラマあたりでよかったのでは?
テレビ東京が「鈴木先生」の劇場版を“LESSON 11”と、堂々とテレビドラマの続きのエピソードだと大見得をきっておきながら、実際にはりっぱに独立した作品に仕上げていて、なおかつ映画らしくスケールアップさせていたのには、及ばない。
スローモーションの多用や、足元だけ写してもったいぶる手法は、鼻についた感あり。
今晩は。
昨晩鑑賞して、レビューだけササっと書いて、一応目を通して先ほどレビューアップしたら、0.5-4.0まで(真ん中はあんまりありませんでしたね)に別れてました。
仰るように、TVドラマに思い入れがある方が厳しかったかな、という感じでした。