劇場版コード・ブルー ドクターヘリ緊急救命 : インタビュー

2019年8月26日更新
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不安は自信に、迷いは強さに―― 山下智久ら“5人”が語る「コード・ブルー」の10年間

ドクターヘリが題材の人気ドラマシリーズを初めて映画化した「劇場版コード・ブルー ドクターヘリ緊急救命」が、7月27日に全国公開を迎える。10年間にわたりシリーズに出演し続け、作品とともに成長してきた山下智久新垣結衣戸田恵梨香比嘉愛未浅利陽介が、インタビューに応じた。彼らの口から語られたのは、仲間と育んできた絆への、率直な思いだった。(取材・文/編集部、写真/間庭裕基)

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2008年に放送がスタートし、リアルな医療・災害・事故現場の描写や、主人公らによる人間模様が人気を博す「コード・ブルー」。シリーズ10周年の節目に封切られる劇場版では、救命救急センターで職務を全うする藍沢(山下)らが、「成田空港」と「海ほたる」で立て続けに発生した大事故に直面する。

映画が始まるや藍沢の「3rdシーズンまでのコード・ブルー」という声が鳴り響き、ドラマ版を振り返る映像がスクリーンいっぱいに広がる。第1期ではまだ頼りなく、大きな痛手を伴う失敗や葛藤を繰り返していたが、シーズンを重ねるごとに自立していく藍沢たち。不安は自信に、迷いは意志の強さに変えていった5人が、今度はテレビではなく、劇場で命と向き合う。轟音を立てて飛翔したドクターヘリが成田空港に向かい、白石恵(新垣)らは即座に患者への最善の処置を施していく。満を持して本タイトルが表示されるまでの約20分間、シリーズを見守り続けてきたファンの胸には、言葉にはできない感慨が押し寄せてくるはずだ。

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山下は「第1期に参加したとき、僕は23歳。若気の至りですけど、尖っていたというか(笑)、自分がどう表現するかばかりを考えていました。藍沢もそうだったんです。自分の腕を磨きたい気持ちが全面に出てしまっていて、周りを見ていなかった」と、当時の“出会い”に思いを馳せる。「(10年の)第2期も、大人になりきれていなかった。その時は僕も25歳で、がむしゃらに空回りしていて、藍沢と同じ感覚が強かったんです。役どころと自分の人生が、リンクしていたと思います。そこから7年経ち、いろんな経験をして、僕自身が人間を好きになれた。人のことを知りたいと思えるようになった。藍沢のセリフで『今は“誰か”のために医者をやっているんだ』というものがあります。僕自身も、自分のためではなく、“その先の誰か”に影響を与えられたら、という思いで仕事をさせてもらっています。自分の経験を、いい意味で反映できたと思っています」。

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山下の言葉からは、この10年間は現実の自分と作品の役どころがリンクし、ともに成長してきた経路が垣間見える。生真面目な性格ゆえに苦労が絶えなかった白石役の新垣は、「ドラマ第1期と比べると、ちょっとだけ声が低くなりました」と笑いながら、「シーズンを重ねるごとに、スタッフさんたちが、お芝居を任せてくれる機会が増えたんです」と明かす。情熱を全面に出す緋山美帆子役の戸田も「私も、だいぶ声が低くなりましたね」と同調し、「私もトゲが強かったなと、第1期と第2期の私の顔を見て感じます。でも今は、そのトゲは強さに変化して、同時に、その強さが包容力に変わっていくのも感じています。いい意味で丸くなれたし、4人のことも、フェローのこともちゃんと見守られる。だからこそ(第2期から第3期までの)7年間の空白は大きかったと、改めて思います」としみじみと述べた。

万感の思いを言葉に込める山下たちに対し、比嘉&浅利は息の合った掛け合いで周囲を和ませていく。初期から共演する“5人”の良好な関係性において、比嘉と浅利が支えている部分は大きいだろう。現場でも妄想の対象となっていたという、ドラマ第3期で結ばれた冴島はるか(比嘉)&藤川一男(浅利)の“結びつき”と“将来”について言及した。

比嘉「第3期が始まるまでの空白期間で、急展開したのは藤川と冴島の関係性ですよね。いきなり同棲していたので、そこはいろいろ想像しました。藤川は、どうやってアプローチしたのか。冴島はどう受け止めて、同棲したのか。スピンオフをやりたかったくらいです」

浅利「ほのぼのしていたと思うよ。『僕は死にましぇん!』みたいなことは言ってないと思う」

比嘉「将来の冴島には、子どもを産んでいてほしい。看護師として働きながら、子育てもしてそう。あと藤川は、主夫をやっているんじゃないですか?」

浅利「将来は頑張って、故郷・山梨で『藤川外科』を開業していたい! 手伝ってもらっている冴島に『そこはもう縫ったから』とツッコまれる藤川。想像がつきますねえ」

比嘉「え~? 主夫はどうするの! 意見の食い違いがあるので、もしかしたら離れているかもしれないです(笑)」

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また山下は、入念に練られた「コード・ブルー」のキャラ造形について、こんなことを明かす。「増本淳プロデューサーいわく、『(台本を読むなかで)コード・ブルーのセリフは、名前を隠しても誰が言っているかがわかる』。それくらいキャラ設定がしっかりしているんです。台本を読んでいると、自然と『藍沢ってこうだよな』『白石ってこうだよな』と思えて、演じることが難しくないんです」と説明しながら、「でも、たまに藍沢っぽくないところがあって。映画の終盤、バー『めぐり愛』に行くシーンでは、『こんな一面があるんだ』と、逆に演じていて楽しかったです。詳しくは言えないですが、僕自身も撮影していて『こういう時、どうしたらいいかわからない!』と思っていました」と愉快げに語った。

この10年間で、山下たち自身も、彼らを取り巻く状況自体も大きく様変わりした。これまでのキャリアに思いを馳せ、人生を振り返るたびに脳裏に浮かぶのは、いつだって「コード・ブルー」のことであり、同作で絆を育んできた仲間たちのことだった。

比嘉は「5人は戦友であり、それぞれが別の作品で頑張っている姿を見て嬉しくもなり、頑張ろうと思える。そう感じられる人と作品は、そうそう巡りあえるものではありません。幸運だったなと、本当に思います」といい、山下は「僕が死ぬ時は、みんなのことを思い出すだろう。映画を見ながらそう思いました。人生で大きな作品です」と飾ることのない率直な思いを告白する。

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キャストという縦糸と、スタッフという横糸が10年かけて丁寧に織り上げてきたタペストリーは、ひとまずの完成を迎えた。劇中、藍沢はドクターヘリを目の前に、白石&緋山&冴島&藤川を背にしながら、「出会って10年。1日のほとんどを病院でおまえたちと過ごした」と、誰ともなく語りかける。山下ら“5人”の提案により台本に加えられ、増本プロデューサーが「最大の見せ場」と確信したシーンだ。シリーズとともに大切な時間を過ごしてきたファンは、どんなことを思うだろうか。「今作で10年間のアルバムを作ってもらった、という気がしています。皆さんにも、同じ思いで見てもらいたいです」と、新垣ははにかんだ笑顔を仲間に向けた。

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