「出来損ないの21世紀版トトロ、薄味。」未来のミライ Ishikawa Peroさんの映画レビュー(感想・評価)
出来損ないの21世紀版トトロ、薄味。
考えれば、考えるほどイライラするのは相変わらずの細田護節。
スタジオジブリの入社試験で規定2枚の絵の提出に100枚以上の絵を提出した細田守監督は、第二の宮崎駿監督と言われ本人も悪い気はしていないと思う。
けれど、細田守監督と宮崎駿監督の決定的な違いは子供の子供らしさだと感じた、というか人物への掘り下げ全般…
くんちゃんは4歳児なのに女子高生みたいな声で10歳児くらいの会話力。
大人の話もよく分かっていて、ミライちゃんが未来から来ているのも3分くらいで理解する。それは子供の想像力とかで賄い切れるものではなく、観客も付いていけない速さ。
4歳児だったら「トトロ」のメイちゃんと同い年。だからどうしても比べてしまう。
妹が出来た事で子供帰りしてしまう話はあるあるだけどその前が子供ぽくなさ過ぎて、物語を作るためにやっているとしか思えない。
細かい描写や動きを積み重ねて人物の性格を見せる宮崎監督とは違い、絵的な細かいディテールを大切にする細田監督の気にしている、建築家のお父さんがデザインした子供には危ないであろうコンクリートの階段が多用された家の作り込みや、部屋、街など、物語に関係ない事ばかりで話には何も絡んで来ない。
さつきとメイの家とその隣にあるトトロの森が物語を物語るうえで重要な装置になっていたのとは大違い。
物語の重要な部分を占める中庭の木になんの説明も付いていず、この木はなんでこの家族を記録しているのかを説明しないから訳が分からなくなってしまう。
家を作った時に、代々大切にしていた木を移植したとかいろいろ物語は作れたはず。
くんちゃんの成長を描きたいんだろうけど、子育て宣言したお父さんは成長せずただオロオロするだけで、これが細田守自身の投影だとしたらお母さん以上にイライラするわ!
お父さんが子育てしていく上でこの家が子供には危ないと、建築家らしく自分で工夫して直していく事で父親らしい成長を見せるとか、それを見てイライラしていたお母さんも落ち着くとかどうとでもできるでしょうに…
細田守というだけでお客さんも入るだろうし、絵が綺麗でなんとなく見れちゃうだけにこの思考停止は悪質。
そもそもなんでミライちゃんは未来から来れたの?