「ハラハラ感は薄め、幼児持つ親にオススメ」未来のミライ tigerbalmさんの映画レビュー(感想・評価)
ハラハラ感は薄め、幼児持つ親にオススメ
細田監督の過去作バケモノの子やサマーウォーズと同様、若者が成長していく様を描いています。これまで通り、子供が観た後に「一つ大人になった」という追体験を夏休みにできる仕様になってはいます。
ただ、ストーリーとしては、前述した過去作にあったようなスリリングなエピソードや展開に欠けた印象です。ワープしていく時代ごとのオムニバスを見ているようで、エピソード一つ一つが持つパワーが弱く、いまいちクライマックスの盛り上がりも乏しい感じを受けました。当サイトで本作の評価が低いのは、過去作のエンタメ感あふれる物語を期待した人々が面食らってしまった結果だと思います。
物語はいわゆるイヤイヤ期の幼児が主人公で、行動原理や台詞などは、子を持つ親であればよく理解できるのではないでしょうか(だいぶコミカルですが)。一方、イヤイヤ期を知らない人にとっては、ただの面倒な子供に映るかも知れません。
ただ、声優が残念に感じました。イヤイヤ期の子供を分からずに演技してしまっているのが、しっかり伝わってきてしまいました。
もちろん10代後半の若手が幼児を演じる難しさはあると思います。ただ、あの年代の子供は、感情の起伏は抑えられなくても、普段の話し方はもっと抑揚がなく、大人が思っている以上に一言で物事を言い当てる強かさがあります。どうせなら公園のシーンで出てきた他の子のように、子供の声優をあてがうことに挑戦してみてほしかったです。
東宝芸能一押しの今をときめくモデルさんのようですが、日本映画は本当にキャスティング主義だと思えてしまったのが一番残念でした。(もちろん細田監督が主役の人選にどれだけ関わったのか分かりません。ただ、実力で選んだとすればそれもそれかと…)
脇を固める声優陣を見ればわかるように、細田監督はそういう風潮と一線を引いていると思ってきたので余計にそう感じるのかも知れません。
話は逸れますが、お隣の韓国の映画を見れば、ソンガンホをはじめあまりお顔立ちがいいとは言えない俳優陣ばかり出る映画「タクシー運転手」が去年大ヒットするなど、実力主義で結果をつかんでいます(何だこれは、と失笑してしまうシーンもありますが)。
近年の邦画は、実力を度外視した某事務所の人が大体入っていますが、観客は本当にそれを望んでいるのでしょうか。話題作「カメラを止めるな」の空前のヒットから学ぶことは多いでしょう。本作を観ながらそんなことを考えてしまったのも、細田監督に期待するところが大きいからに他なりません。
もう少しストーリーを面白くできたと思う&犬に化ける、雛人形のくだりなどあまり必要に感じないシーンがあったことで減点1
主人公声優で減点1
そのため星3つにしました。