「【”ずっと独りぼっちだったけれど、もう魔法はいらない・・” 葛藤しながらも自らのコンプレックスと向き合い、新たな一歩を踏み出す少年少女の姿が心に沁みいる作品。】」志乃ちゃんは自分の名前が言えない NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”ずっと独りぼっちだったけれど、もう魔法はいらない・・” 葛藤しながらも自らのコンプレックスと向き合い、新たな一歩を踏み出す少年少女の姿が心に沁みいる作品。】
■今作の魅力
1.キャラクター設定の妙と演じる若き俳優さんたちの姿
・志乃(南沙良):人前に出ると、緊張のため吃音になってしまう高校一年生の少女。美しい唄声を持つ。
・加代(蒔田彩珠):音楽が大好きで、ギターを奏でる事で自分の居場所を保つ少女。少しだけ、音痴のため友達と距離を持つ。
・菊池(荻原利久):おバカキャラを出そうとするが、クラスの中で浮いてしまうちょっとイタイ男子。中学時代に苛められていたらしい・・。
という、様々なコンプレックスを抱えた高校一年生を演じる、南さん、蒔田さん、荻原さんの姿。取り分け南さんが演じる志乃の姿は沁みる。
白眉は、ラストに近いコンサートでの志乃の魂の叫びのシーンであろう。
又、ツンデレだが、心優しき加代を演じる蒔田さん。イタイキャラを演じる荻原さんの姿も印象的。この三人が奏でる演技のトライアングルが素晴らしいのである。
2.1970年代のフォークソングの使い方
・随所で奏でられる”あの素晴らしい愛をもう一度” ”翼をください”のメロディが醸し出す風合。
3.1990年代のJ-POPの使い方
・曲数は少ないが、”ザ・ブルーハーツ”、”ミッシェル・ガン・エレファント”と、上記フォークソングとの相乗効果。
4.盤石の”足立紳”の脚本
・3名の若手俳優の名演を引き出す安定の脚本。劇中の音楽の使い方も素晴らしい。
今作の素晴らしさは、足立紳の脚本と南沙良さんを筆頭とした若手俳優3名の方々の演技に依って成り立っていると言っても、過言ではないであろう。
<ある視点から、様々なコンプレックスを抱えた若者たちを描いた青春映画の秀作。改めて、足立紳の書く脚本の凄さを認識した作品でもある。>
<2018年9月 シネマテーク高崎にて鑑賞>
ー鑑賞当時、激しく心に沁み入ってしまい、とても恥ずかしい思いをした挙句、鑑賞記録を紛失・・。-
<2020年6月 別媒体にて再鑑賞>
コメント、ありがとうございました。
> 志乃が相変わらず一人で昼食を取る机に、ある少女が飲み物を置くシーンが、絶妙だと思いました
ああ!思い出しました。すっごく、いい!この映画を示してる!思い出させてくれて、重ねてありがとうございます!
いい映画ですよね〜
自分もbloodtrail さんが言うビターな終わり方にやられました。予定調和を厭わない自分は、単純なハッピーエンドを想像してました。(いつも、そう)