劇場公開日 2018年7月14日

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「みんなコンプレックスを抱えてる」志乃ちゃんは自分の名前が言えない とえさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0みんなコンプレックスを抱えてる

2018年8月11日
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鑑賞方法:映画館

大人になって汚れきった心をキレイに洗い流してくれるような、繊細で美しい清涼感のある映画だった

高校に入学したばかりの志乃は、吃音がひどくて、同級生と上手に会話することができない

しかし、ある時、クラスメイトの加代と友達になり、一緒に過ごすようになる
そして志乃は、加代から一緒にバンドをやろうと声をかけられ…

志乃は、とても繊細で、感受性の強い子だ。
周りにいる人たちの感情の波動を人並み以上に受信して、人並み以上に飲み込んでしまう

だから、上手に話せば話そうとするほど、吃音が酷くなってしまう

それに比べて、加代はとてもクールな子だ。
周りで起きていることを「適当に受け流す」というスキルを持っている。
そんな加代でも、大好きな音楽のことで笑われると耐えられない。
その辺は、まだまだ高校生なのだ。

そんな、プラスとマイナスのふたりだからこそ気が合ったんだろうと思う

しかし、そこから、そんな2人の間にもう1人入ったら、2人の関係はどう変化していくのかが描かれている

私が、この映画で良いなと思ったのは、その吃音という悩みを抱える志乃を特別扱いしないところだった。

誰もが、人には言えないコンプレックスを抱えていて、みんな「心から話し合える友達が欲しい」と思っている
志乃だけが特別な存在ではないのだ

その中で、志乃はどうやって生きていくのか
どうやって、周りの人たちと付き合っていくのか
決して甘やかさず、距離を置いて自立を見守る

その志乃との距離感が良いと思った

なせなら、まさにそれが現実だからだ

自分がブスだと思ってコンプレックスを抱えて生きていても
誰も助けてくれない

どこかで、そんな自分を受け入れるか、整形手術を受けるかして、コンプレックスを克服していく

それは志乃も同じだ
吃音を治すことができないなら、そのコンプレックスをどこかで受け入れて生きていかなければいけない

しかし、いきなりコミュニケーションの達人にはなれないし、コンプレックスがゼロになるわけでもない

少しずつ自分の内側にあるコンプレックスを壊して、少しずつ前進していく
その歩幅とスピードが良いと思った

そして、二年生になった時の文化祭では、あの体育館に奇跡が起きているのではと思った

志乃の助けとなるのが、音楽というのが良かった
音楽には人を救う力があると、私は本気で信じている

とえ