「監督不行き届き」フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法 たろっぺさんの映画レビュー(感想・評価)
監督不行き届き
目線は私の好きなピーナッツの高さで、子供達の飾らない仕草がとても生き生きと映っていた。
だが、社会問題を手掛けた映画にありがちな音響の詰めの甘さも見受けられ、役者の演技は良くてもキャラクターを好きになれなかった為、残念ながら心に沁みる事はなかった。
人にものを頼む事の難しさは良く分かる。
況してや、アメリカでは子供だけの留守番は虐待という認識であるから、シングルマザーの抱えている苦しみは私の想像の及ばない領域だろう。
だが、物語が進むにつれどんどんモラルの壁を飛び越え、果ては暴行まで働くヘイリーを憐れむ事は出来ず、コインランドリーでの無責任な甘やかしがノイズになった。
そして、例のマジカルエンドにも全く救いを見出せなかった。
例えば学校のイジメ問題ならば、取り敢えず逃げるという選択肢は有効だろう。
だが、家庭に問題がある場合、どうあがいても子供の力だけでは最低限の生活を送る事すら不可能であるし、閉園後には友と別れ最悪の最善策である保護を受け入れる他ない。
夢の国はあくまでも夢でしかない。
倒れても逞しく育つ、それを画面演出だけに終わらせず、確証が得られる地点まで手を繋ぎ、導いて頂きたかった。
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