「おもしろかった」フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法 雑種のねこさんの映画レビュー(感想・評価)
おもしろかった
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いわゆるアメリカの貧困というものに以前から興味があったこともあり鑑賞。
このところ特に、アメリカでも日本でもあまりにも貧困に無自覚で抜け出そうという発想すらない層が増えているように感じています。
その部分に焦点を当てた映画は少ないように思いますが、この作品は正にそういった種類の人間を描くために撮られたのでないかと思いました。
主人公のムーニーはただ無邪気に楽しく毎日を過ごしています。
母親であるヘイリーはまるで小さな親友のようにムーニーを扱い、決して暴力を振るったりはしません。
でも、善悪を教えず他人から施しを受けることを当然のこととし、男性客を取るときも隣のバスルームに置いておく…
少しずつ目に見えない何かがムーニーから削り取られていくような気がしました。
ヘイリーにとってムーニーを愛し甘やかすことは自分を愛し甘やかすことであり、本当の意味でムーニーと向き合うことはすなわち自分と向き合うことであるという無意識の恐れがあったのかもしれません。
出演者の圧倒的なリアリティもあり、正直に言って救いのない物語だと私は思います。
でも、心を揺さぶられる物語です。
また、管理人のボビーの立ち位置も絶妙でした。
母娘のことを気にかけながらも立場に縛られ、結局は傍観者でしかない存在であること。
それは現実の社会における私自身の立ち位置でもありました。
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