「秩序とカオス、そこに人間がいる。」ザ・スクエア 思いやりの聖域 ytoshikさんの映画レビュー(感想・評価)
秩序とカオス、そこに人間がいる。
パルムドール、常に追っかけてるわけではないので、賞だけ知って見た。
結論は、これぞカンヌ。納得です。
北欧って一括りにはできないんだろうけど、物乞いが普通にいるのは、先入観の虚無への供物ですね。日本だったら、まず店や道端からとにかく排除するから、また違うんだなぁと。
そして、それもスクエアの一辺。公平も信頼も思いやりも、秩序の一辺に過ぎないと提示されて、我々がほしいのは、秩序という囲いなんだと改めて。
逆に最も恐れているのは、カオス。不快、不愉快なのは理解不能だから。
少年は最高だったけど、手紙には、お前にカオスを与えてやると。殺してやる、とか、痛い目に合わせるとかがフツーだけど、カオスを与えてやるってさ。
もう手紙自体がカオスなんだけど、なぜあそこまで執拗に怒ってるのか、理解不能でいるうちは、カオスが続くだけ。
きちんと考えれば、そういう反応が起こりうる(あの執拗さも含めて)事は、理解できるはずなのに。
だから、登場人物を(自分とは違って?)欠落した人間に置いてしまうのは、理解不能とレッテルを貼る嘘だと思う。
少なくとも本編で起こってる事は、それ自体理解できない事は何一つないし、アンが言うように、「またまたー、分かってるんでしょ?分かってるわよ。」と執拗に要求する。理由が分からなくても、言ってる事自体は、理解できるはずだからね。
見るものほぼ全員が固まった猿人では、逃げたら襲われるのアナウンス通り。最初の女性だけでしたね。逃げなかったの。むしろ、女性の方が見つめていたくらい。
終わって見て、こんなに長かったの?疲れた状態だったけど、面白かった。
動画では、むしろスクエアの中にこそ、無責任な偽善的地雷が埋まってて、そこでは誰もが平等。という皮肉というよりかは現実。聖域だから、入らない前提なんだよね。思いやり地帯だから、誰かが助けるんだろうと。でも、誰も行かないから、結果助からない、という。
だから、提示としては、この映画は、少年よろしく、理解を執拗に要求してるんですよ。この映画自体が。勿論、逃げる人は逃げるし、嫌がる人は嫌がる。怒鳴る人は怒鳴るけど、理解が深まれば、いつまでもそうとは限らないと感じた。
ただ、理解をしつこく要求されているうちが花でもあるので、成熟・成長するチャンスは限られてるとのラスト。
しかし、主人公には娘がまだいますから、これから頑張って欲しいし、まだ何も終わってない感じに具体的な提示が最後あって良かった。知らない誰かではなく、知ってる誰かを理解できるはず人間は。まず。という。
万引き、パラサイトも良かったけど、より執拗に「展示」してくれてw見応えありの納得の作品。次回作が楽しみだね。