劇場公開日 2018年4月28日

  • 予告編を見る

「確かにけしからんお話!」ザ・スクエア 思いやりの聖域 foxheadsさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5確かにけしからんお話!

2018年5月17日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

怖い

難しい

スウェーデンの奇才リューベン・オストルンド監督作。前作「フレンチアルプスで起きたこと」同様、些細な過ちのはずだった行動が主人公を追い詰めていくが、今作では悪い方へ悪い方への突き進み方が徹底してすぎており、更にアイロニーとブラックなユーモアとたっぷりの毒の盛り度がやりすぎな位にスゴイ。アートの世界で成功を収めたキュレーターである主人公が、自身の”思いやり”の無い行動を重ねていった結果、これでもかと降りかかる不幸の連鎖。そのすべての元凶は彼にあり、上手く取り繕おうとしてもダメ、反省して償おうとしたって、謝罪したって、辞めたって許されない。裕福な知人や仕事仲間、部下、友人、娘たち、金乞いの人たちまで、もしかして...と助けてくれそうな人々が、ことごとく助けにならずにむしろ足を引っ張りまくる。徹底して冷淡で悪ふざけに近いブラックな笑いを執拗に盛り込むあたり、監督はかなり偏執狂的にクドイ性格だなあ...そこが好き!やはり際立つのは悪意のある冷笑の嵐だが、その中に、現代の人間関係の希薄さやネット社会の脆さに対する警鐘を鳴らす。カンヌ映画祭でパルムドールを受賞したが、拍手と共に「恥を知れ!」との怒号も鳴り響いたというが、なるほど確かにけしからん話ではあるなー、と納得してしまう。個人的にはかなり好きだけどねー、大傑作!

はっきり掴めなかったのは、”カオスが訪れる”の件と、アパート住民の先住民族風の男性のところ。この二つって、組みになっていると思っていいんでしょうか?

foxheads