「本音と建て前、偽善……思い当たるからこその気まずさ」ザ・スクエア 思いやりの聖域 AuVisさんの映画レビュー(感想・評価)
本音と建て前、偽善……思い当たるからこその気まずさ
squareには「正方形」のほかに、「公明正大な、正々堂々の」といった形容詞の意味もある。映画に出てくるインスタレーションは、正しい行い、正しいあり方とは何かを考えさせる装置であり、それがそのまま映画のテーマとも重なる。
主人公クリスティアンは現代美術館のキュレーターで、成功者にして良き父親だ。だが街角で人助けをしようとしたら財布と携帯を摺られ、取り返すためにとった行動から泥沼にはまっていく。また、利他主義を訴えるはずのアートが、PR会社の炎上手法により非難の的になってしまう。
本作は観客が気まずくなるシーンで満ちている。この気まずさは、自分自身にある本音と建て前、偽善的な部分を鋭く突かれるからだ。それは鏡を見て自分の醜さに気づかされるようなもの。実によく“刺さる”社会風刺劇なのだ。
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