「家族のつながり」ゲティ家の身代金 hyvaayota26さんの映画レビュー(感想・評価)
家族のつながり
離婚の際に見せたゲイルの交渉力から、これからどんな風にゲティと闘うのだろうと期待が高まったのでちょっと肩透かし。そんなに交渉しなかった。
お金に取り憑かれた悪魔の話ではなく、家族の話なんだと思う。
ゲティは子や孫たちを家族(血族)として大事に思っているが、この映画で家族のつながりを成し得るのは血の繋がっていない人々だ。
チンクアンタはポールを家族のように思い、守ってしまう(彼のその後を思うと胸が痛む)。チェイスは彼らを守ることで家族になる。ついでにイタリアマフィアは女性が身の回りの世話を焼く擬似家族だ。
聖母子のような純粋な家族愛を求めたゲティ。彼がお金で買えなかった家族のつながり。
ゲティは実際、孫を守ろうとしているし、その判断は的確だ。イタリアの警察が全く頼りにならず信用もできない中、優秀な交渉人がいたのは大きい。
「母の愛」や「母は強し」のような母性愛礼賛でなかったのは意外だったが、良かった。部屋に飾ったイーストウッドのポスターは彼が監督したチェンジリングへのアンサー?
パパラッチの描写がしつこく描かれて、観客の視点がゲイルと同化し、画面に向かってフラッシュが焚かれるショットはほんとに不快。監督も恨みがあるんだろうなと思った、なくてもいいショット笑
マークウォールバーグがすっかり歳を取っていて驚いたが、この映画のウォールバーグは魅力的で、ブギーナイツのころを懐かしく思う。そしてチンクアンタはロマンデュリス!!そういえば彼のこと好きだったことを思い出した。
wikiでみるとゲティ家はみんな幸福というわけでもなく、お金で買えるものは限度があるのかなとは思う。ポールのその後の人生も「幸福な」と形容されるものではなかったようだ。