劇場公開日 2018年4月7日

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「【"利己的人間の愚かさと、無償の献身をする人々の姿を、シニカルな視点で対比的に描いた”愛亡き”作品。両親に愛されず行方不明になった少年と、ウクライナの民の哀しさがダブって見えた作品でもある。】」ラブレス NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0【"利己的人間の愚かさと、無償の献身をする人々の姿を、シニカルな視点で対比的に描いた”愛亡き”作品。両親に愛されず行方不明になった少年と、ウクライナの民の哀しさがダブって見えた作品でもある。】

2021年10月13日
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鑑賞方法:VOD

悲しい

怖い

難しい

<Caution 内容に触れています>

□利己的人間
 ・言うまでもなく、愛無き結婚をして、12才のアレクセイを悲しませてきた、会社での自分の保身を考えるボリスと、スマホ依存症のジェーニャ夫婦である。
 しかも、二人はそれぞれ愛人がおり、定期的に愛し合っている。
 アレクセイは、ある日、両親の言い争いを聞いてしまい・・。
 ー あの、涙でくしゃくしゃになった顔は忘れ難い・・。そして、彼が友達が一人しかいなかった理由も垣間見えるのである。
 彼の捜索中に、ジェーニャが言った言葉
 ”子供なんて、欲しくなかった”
 物凄く、腹立たしいシーンである。ー

□無償の献身をする人々
 ・言うまでもなく、頼りにならない警察の代わりに、リーダーの元、統率の取れた組織編成で、整然とアレクセイを探す姿。
 ー ロシアって、あんな組織があるんですか? 警察が頼りにならないから??
  警察よりも、余程頼りがいがある。
  ”政府組織は頼りにならないので、民は自警する・・”ということかな・・。ー

<冒頭と、ラストのシーンの繋ぎ。
 年は経て、貼られたアレクセイの捜索願は風で飛びそうだ・・。
 そして、モノトーンのショットの中、枯れ枝に引っ掛かった冒頭でも映されていたビニールテープも風に靡いている。
 下には、冬枯れの景色の中映し出される池。
 再後半、TVから流れるウクライナで起きた事件。泣き叫ぶ母親。
 TVのニュースが流れる中、無表情でランニングマシーンの上で走る”ロシア”と大きく書かれたジャージを着たジェーニャの姿。
 暗澹たる気持ちになるが、アンドレイ・ズビャギンツェフ監督が発するメッセージは、しっかりと伝わってきた作品である。>

NOBU