「映画版スパイダーマン好きが通ります。」スパイダーマン スパイダーバース NandSさんの映画レビュー(感想・評価)
映画版スパイダーマン好きが通ります。
前提として
・多分5回目ぐらい。
・字幕・吹替どちらも視聴済。
・原作と思しきものだと『スパイダーバース』は読後。
・次作『~アクロス・ザ・スパイダーバース』は視聴済。
・実写版『スパイダーマン』作品は大体視聴済。
まず、視覚的な要素が素晴らしく良い。めちゃくちゃ良い。
アニメなのかコミックなのかわからない絶妙なスタイル。それが初めての体験って感じで良い。モーションの隙間にサブリミナルのように別テイストでカットが入る。キメの一瞬だけコミックになるのだ。ワンシーンに何枚使っているのか。
しかも、キャラクター・アースごとに雰囲気が変わる。白黒のノワール、日本の"アニメ"調、カートゥーン……もはや何を言っているのか分からなくても楽しめるレベル。
「どうせアニメでしょ?」と侮っている人にはどうしても観せたい。最初のスタジオロゴで気合入ってるのが分かる。
その上、カメラ移動もかなり面白い。ちょっと激しすぎて状況が分からなくなる瞬間はあるが、それよりも楽しさが増す。スパイダーマンらしいスピード感もあるし。
音楽も良い。
ラップ系がメインで、ノりつつも感情を気持ちの良い方向へ連れて行ってくれる。喜びだけじゃなくて悲しみも含めて。
そしてヒーローとして進む瞬間にはしっかりとヒロイックなBGM。バランスが素晴らしい。
ただ、どうしても納得がいかないのは日本語版主題歌。日本の配給はなぜ彼らに変更した?? "TK from 凛として時雨"は悪くない。曲も悪くない。音楽性が本作に合ってなさ過ぎる。吹替版が個人的にオススメなだけあって非常に文句あり。
さて、ストーリー。
一人のスパイダーマンとしてのオリジンを壮大に描いている。
オリジナル(ピーター・パーカー)と同じく、挫折と再起がキーポイント。家族を一人失う、という面も同じ。
さらに友情とか恋愛とか、変わっていく環境へのモヤモヤとか、親からの期待だとか、誰しも一度は通ったであろう要素を絡めて進んでいく。スーパーヒ-ロ―であろうと、一人の学生であることは忘れさせない。スパイダーマンのエッセンスとしてやはり大事な部分。懐かしくも新しい。
というか、かなり王道。演出や設定以外はかなり分かりやすく、いいバランスを取っていると思う。画面がごちゃごちゃしがちだから、本筋は分かりやすい方がいい。
テーマは色々あるが、一番は"家族"だろう。
主人公マイルズ・モラレスとラスボスキングピンことウィルソン・フィスクに共通している大事なもの。多くの人にとって共感を得やすいテーマだ。普遍的なテーマとも言える。
そして"(苦しみを分かり合える)仲間"。
ここはマイルズとウィルソンの間で対比させている。死別との向き合い方も同じく。実はウィルソンサイドの"仲間"とか"家族"として寄り添おうとしてくれた人物は意外と居たのではないか、と思うがどうだろう。ドクオックとか。
そしてキャラクター。
メインはマイルズとグウェン、そしてピーター・B。この三人が成長・変化していく。他のキャラクターにもいくつか変化が訪れる。
正直、ノワール、ペニー、ハムの変化は劇的でないが、そもそもの個性が強いのであまり気にならない。今後の展開が気になる二人と一匹。
ちなみに推しはグウェン姉さん。とにかくビジュアルが大勝利。なんて美しいんだ。このキャラクター自体は昔から好きで推してはいたのだが、今作のビジュアルは最高すぎる。このフィギュアを購入したレベルで好き。
最後に演出。
会話とか画面とかの伏線技法も多い。アニメというよりも実写的な感覚を受けるのはこのためだろうか。
たまーに「それは嘘じゃない?」ってなる描写があるんだけどうまいこと隠してる。最初に観たときは気づかないと思うのでよし。……よし? よしではないけど。
あとは最初に書いた通り、映像としての遊び心がめちゃくちゃ多い。アニメとコミックの合わせ技!楽しい!!
色々と書いたが、とにかく「面白い」ということを伝えたい。
まずはスパイダーマン好きの人。四の五の言わずに観てほしい。確実に好き。
「アニメだから」と侮って観ていない人。とりあえず観てほしい。何かしらの驚きはあるはず。
映画好きの人。映画史に残る(というか残っている)から、一度観ておいて損はない。
とかいう風に何度でも勧めたくなる傑作。
そんな作品。日本育ちは吹替がオススメ。
確かに名作だと思いました。
このあと実写版も見たのですが、それらも素晴らしかったです。でも、それらとは全く別の作品として素晴らしい!
何より映像と音楽がカッコいい。
ファギアを買われたという気持ちもわかります。