「“動くアメコミ”にしてCGアニメの革新的作品」スパイダーマン スパイダーバース mokusin takataniさんの映画レビュー(感想・評価)
“動くアメコミ”にしてCGアニメの革新的作品
【モンスターホテル】(以下【ホテル】)のソニー・ピクチャーズ アニメーションが制作。
結論から言うと個人的CGアニメの最高峰【トイ・ストーリー3】以来頭打ちになっていたCGアニメ表現に一石を投じ、しかもスパイダーマン作品随一の面白さという全くもって見事な名作だった。
【ホテル】からそうだがこの制作会社は“動き”の情熱がとにかくすごい。カートゥーン特有のメリハリとオーバーリアクションをCG上で完全再現しており、描かれるキャラ達の所作と表情の喜怒哀楽はまさに手書きのカートゥーンそのもので“もっと見たい”と思わせる作り込みだった。本作ではその“動き”の熱意がより洗練・昇華され、ビジュアル面でもアメコミ的なエフェクトや演出にも力入れた結果、“絵”と“動き”はCGアニメ歴代トップへと図抜けていた。そんな極まった映像技術で作られたシーンの個人的一押しは主人公が覚悟を決め摩天楼を駆け抜ける所。BGMもスタイリッシュで非常にカッコいいこの覚醒シーンは疑いなくCGアニメ界の最高峰、たぶん古今東西のアニメを含めても上位に食い込む。それ以外ではBパーカー(師匠ポジ)と主人公の最後のやり取り、これまでの海外アニメとは違う日本アニメ的な演出なのもあって実に印象に残るヒーロー誕生シーンだった。
計6人のスパイダーマン全員がしっかり活躍し存在感を出していたが、ペニーが最も異彩を放っていたので少し語りたい。調べたら原作からずいぶん日本人好みのデザインになっていて動きと表情も日本アニメに寄せている---『セーラームーン』を参考にしていると言ってるから当然と言えば当然だが、『AKIRA』や宮崎駿作品なども取り入れたらしいので随所で日本人に馴染み深い作風だったのも納得、それだけジャパニメーションの影響力が凄いのだろうが海外はホント『AKIRA』が好きだ。
以上、マジパーフェクトなので後は見てどうぞ、その際は吹き替えを大いに推奨する。