「日本のアニメ技術を見事に昇華したカートゥーン」スパイダーマン スパイダーバース 葉風さんの映画レビュー(感想・評価)
日本のアニメ技術を見事に昇華したカートゥーン
IMAX3Dにて鑑賞。
非常に素晴らしかったし、楽しかった。
題名にもある通り、これはアニメに詳しい人が観ると、思わずニヤリとしてしまうような技法と小ネタ満載で、アメリカのカートゥーンと日本のアニメが見事な融合と昇華を果たした傑作だと感じました。
スパイダーマン実写1作目しか見ていないんだけど、それでも十分話についていける内容だった。
シナリオ自体はアメコミらしい王道な展開ながら、それを飽きさせない様々な工夫とテンポの良さで爽快感があり、非常に楽しめた。
物語の転換点となる次元装置で平行世界のスパイダーマンがやってくるというあたりは、日本のアニメでよくあるやつですね。特に敵側のボスがそれを使いたい理由がフルメタル・パニックのカリーニンと同じようなものだったりするところが、もしかしてまだアニメ化されてない原作部分まで知ってるのかなと思ったり。あっちでもフルメタル・パニックはそこそこ知られてるし。後スパロボZシリーズでもあったな。タツノコプロのヒーローが平行世界から集結するInfini-T Forceでもそういうストーリーラインがあったので類似しますね。
それは非常に好意的なオマージュで、それに頼ることなく、そういう日本のアニメであったような話が無意識か意識的か、散りばめられていて、あっちの人もやっぱよくチェックしてるんだなということが感じられましたね。主なストーリーライン自体はあちらのもの。これはある程度アニメなどに詳しくないと気づかないことかもだけど。
日本のアニメをパロった?女の子とメカの組み合わせのスパイダーマンもいた(あのメカって、アスキーアートから生まれた腐女子の化身ホモォに似てない?w)。スポンサーであるソニーに気を遣ったのか、はたまたそういったことがあっちでも人気があるのかもしれない(トレーラー公開後に海外で1番読まれたのがこのキャラだったのであながち間違いではないかも?w)。
アニメ技法に関しても、昔のディズニーアニメやカートゥーンと日本のアニメの特徴であるリミテッド・アニメーションを上手く融合することによって、まるでアメコミの雑誌からキャラクターが飛び出してきたかのような錯覚を覚えるほどの出来栄えでした。
もともと日本のアニメはテレビまんがと呼ばれるほど、漫画と親和性は高かった(見得を切るような止め絵を活用するなど)。そういった良さを今のアメリカのアニメーションにうまく取り入れることによって、これほどまでの映像演出ができたのではないでしょうか。
パワーパフガールズからよくぞここまで進化した。
まるで零戦をよく分析して航空戦でアメリカが圧倒したように、日本のアニメもよく研究して自分たちのものにしたなぁという感想です。
その他にも様々なところで日本のアニメ要素を取り入れてるところや独自の要素もありますが、そこはもっと詳しい人に譲ります。
とりあえず、スパイダーマン好きな人もアメコミ好きな人もアニメ好きな人もそうでない人にもおすすめな傑作映画です。
スタン・リーさんへ贈る言葉も胸に響きました。