「個人的には…文句なし!」僕のヒーローアカデミア THE MOVIE 2人の英雄(ヒーロー) よもぎさんの映画レビュー(感想・評価)
個人的には…文句なし!
漫画やアニメのパラレル・番外編的な映画は個人的に原作が好きな故に微妙な「なんかちょっと違う」感が尾を引いて星3~4くらいの評価になるのですが、本作は不満らしい不満は無かったですね。
約90分という、あまり長くはない上映時間で、この作品のワンエピソードとして必要な要素をしっかり詰め込まれていて、最初から最後まで中だるみなく走り抜けました。
この作品は主人公はまだ半人前で、作中世界最強格のキャラが後見人として守っているという、長期的な成長ストーリーならともかく映画には中々し辛そうな設定ですが、映画オリジナルのびっくりどっきりメカによって少々強引ですがその問題も解決します。
メカの力を借りた一時的な物ですが、遥か遠いNo.1ヒーローの背中に追いつき、並んで走るクライマックスの演出は中々に燃えます。
本作の売りである多彩な能力を使った派手なバトルシーンは最初と最後にちょっとだけ、という事もなくかなりの割合をバトルやアクションに割かれていて見応え十分。キャラが非常に多い作品なのでさすがに活躍キャラは絞られていますが、必要最低限のキャラは動かせていたと思います。
特に、本編ではそのチートな強さと身体的な制約故に中々動かしづらいオールマイトが回想を含める事で存分にはっちゃけています。
敵ボスのヴィランとは原作のオールフォーワン戦並みに力を使って大丈夫なのか心配になるくらい戦います。
そんな敵ボスヴィランはオールマイトと主人公ズを相手に張り合えるだけあって「君、出る作品間違えてない?」と言いたくなるほどのチート。実際ドーピング的な事するのでマジチートなんですが、チートする前から強い。例えるなら賢者の石を使ったアルフォンス・エルリック。絶対ヴィラン業界で『鋼の錬金術師』とか二つ名で呼ばれてる。
変に悪人なりの矜持とか正義感の違いとか謳わないガチ悪人で本人も自分を悪人と自覚しているので視聴者も躊躇なくぶっ飛ばされるのを見ていられます。
そしてもう一組の映画オリジナルキャラ、オールマイトのコスチュームの開発者にして相棒ポジションだったデヴィットとその娘メリッサのシールド父娘。この父娘、かなり設定的においしいキャラで、『一線を退く事になるNo.1ヒーローとその相棒』と『一回り成長した未来のNo.1ヒーローとその相棒』って感じの対比が世代交代を現す絵面でとてもカッコいい。ただの映画ゲストで終わらすには勿体ないキャラなので原作逆輸入して欲しい。主人公のサポート役である発目さんとヒロインお茶子ちゃんの立場がまとめて危うくなるが。
そんなわけで映画ゲストキャラも敵味方共に非常に良いキャラしている。
バトルシーン良し、キャラ良し、主題歌良し、ストーリーも程よく纏まっている非常に満足度の高い作品でした。
好みや求める物は原作ファンの間でも異なるでしょうが、個人的にはこの漫画が好きなら是非おススメですね。
原作でもアニメでもオールマイトはもう力を失いバトルは無理ですが、代わりに人気キャラの要素をこれでもかと詰め込んだ新キャラ・ホークスとツンデレ親父・綺麗なエンデヴァーのペアが良い味出してるので、このペアを主力とした映画もいつか作って欲しいです。