「朝鮮族という悪役」犯罪都市 ローチさんの映画レビュー(感想・評価)
朝鮮族という悪役
マ・ドンソクの魅力が炸裂している犯罪映画なのだが、朝鮮族を題材に取っているところに注目したい。
韓国と北朝鮮の両首脳が国境を渡り、朝鮮戦争の終戦宣言に向けた署名をし分断された同胞が歩み寄る可能性が出てきたが、気になることのひとつに中国自治州に住む朝鮮族の人たちはどうなるのだろうということだ。
貧しい朝鮮族は、韓国に出稼ぎに出る人が多い。『哀しき獣』でも描かれているが、そうした出稼ぎ民は、裏社会ともつながりやすい。本作の悪党はそういう元は出稼ぎにきた人々なのだろう。
ユン・ゲサン演じる悪役の動機は執拗なまでに金だ。しかし金に固執する理由は描かれない。朝鮮族が韓国にやってくる理由自体が金であるから、描く必要がないのだろう。
今後朝鮮半島が仮に安定化し、経済も上向く場合、朝鮮族だけはその流れに取り残されるようになってしまうのだろうか。そう思うと、この映画にもなんだか悲哀も入り交じる。
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ろーさんのコメント
2018年4月30日
観ていて『哀しき獣』思い出しました!『犯罪都市』の朝鮮族のボスは超悪人でしたが、ラストの狂犬みたいな雄叫びを聞くと、彼もやっぱりグナムなのか、ブラックな側に落ちてしまったグナムなのかなぁ…と悲しくなりました。