劇場公開日 2018年7月7日

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「面白いアイデア」ルームロンダリング るるびっちさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0面白いアイデア

2018年7月26日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

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実際にルームロンダリングという仕事があるのかは知らない。
自殺・他殺等の事故物件に対し、次の入居者にそれを告知する義務がある。なので人を雇い一回住まわせれば、次からは告知義務から外れる。
その手法が「ルームロンダリング」と呼ばれるという。

それで雇われたネクラ女子の話。
幽霊が見える彼女は、生きてる人とはコミュニケーション不全なのに幽霊とは上手くやれる。
彼女にとっては幽霊より、嘘をつく生きている人間の方が恐ろしいのだ。

コメディだが、割と静かで落ち着いている。
バカなお化けが騒ぐドタバタではない。
飛行機に手を伸ばすなど『アメリ』のような空想的感覚もあり、主人公を演じる池田エライザが単なるネクラではなく魅力的な雰囲気を漂わせている。

イジメや母の失踪が原因で心を閉ざした主人公や、幽霊たちを通して現代社会の生きづらさや閉鎖性を訴える。幽霊のセリフに多少の説教臭さはあるが、面白く見られる。
幽霊の数が少ないので、もう一人くらい出しても良いと思った。
語られない過去の事案に孤独死老人、自殺に追い込まれたエリート、育児放棄で餓死した幼女のケースがあったようだ。社会性のテーマが強すぎてコメディらしさや、主人公の持つ空気感がなくなるのと尺の問題で削除したのかも知れない。

ただ主人公の母親が失踪した理由と、彼女を世話しているオダギリジョーがルームロンダリングさせる事には矛盾が生じている気がする。
ルームロンダリングさせると、彼女の霊視能力は益々磨かれると思うし、それを母親は望んでいなかったのではないか?

また、後半のカタルシスが畳みかける感じではなく、少し間延びした印象もある。それでも死者を通して生きる意味を問うた青春物だと思う。ネクラな彼女にとってはこれが青春。

るるびっち