「難解ドラマ」触手 Minaさんの映画レビュー(感想・評価)
難解ドラマ
日本のアダルト業界に「触手モノ」という表現があるが、邦題はそれをイメージして配給元が付けたのだろうか。近年日活ロマンポルノ等が再び熱を帯びている事もあってのことか。
本作には人に至極の快楽をもたらす怪物が登場するのだが、話の流れ的にエイリアンだろう。全生物の根源という存在の様で、地球に飛来した際に出来たクレーターで様々な動物が交尾を始めるという描写がある。個人的にこのシーンが最も嫌だった。人間側では主に女性がその快楽に溺れるという内容なのだが、なぜ女性なのかや、人により反応に差があるだとか、細かなところは描かれていない。正体や目的を謎にする事で不気味さが際立つものだが、描いて欲しい所は描かれず、ドラマパートがかなり長尺であり、説明が長すぎるように感じてしまう。また、ヒロイン含めそれに入れ込んでしまう女性らは家庭等で何らかのハンデを負っている。孤独だったり、DVだったり、社会的地位において明らかに不利な状況に置かれているのである。旦那が浮気をするのはどこの国でもある様な事かも知れないが、その相手が自分の弟というのは衝撃過ぎた。ゲイを否定する気は無いが、自分の弟と考えると身震いしてしまう。ちなみに男性はどうも「それ」には受け入れられにくいようで、命を落としてしまうケースもある様だ。だがそれは女性も同じであり、「それ」に飽きられてしまうともう用済みの様にポイッと捨てるのである。・・・失礼なエイリアンだと思うが、人間の欲という物に対する風刺なのか、ハマりすぎてしまうと必ず怪我を負う羽目になるのだ。だが薬物と同じで皆それでも「それ」に魅入られてしまうのである。どのタイミングで快楽から攻撃の対象になるのかや、男性でもしばらくはその快楽を楽しめる一方、一度で命を落とす人間もいるのかは良く分からない。本作は難解アート系作品の為、考えるより感じろという事だろう。エイリアンの気味悪さとエロさは他に類を見ないものであるが、内容がアート過ぎるものであり、ややついて行けなかったのが正直な感想だ。不思議な体験をしたい時にはオススメである。