「良い指導者さえいれば!」ダンガル きっと、つよくなる もんくーるさんの映画レビュー(感想・評価)
良い指導者さえいれば!
最初は、貧困ゆえレスリングが続けられず金メダルを取ることが叶わなかった父親の夢を、無理矢理娘たちに託した、悪く言えば父親のエゴかと思っていたが、とんでもない!
社会がどうであれ娘たちの可能性をとことん信じる父親と、それに応えるべく邁進する娘たち、その両者の間にある絶大なる信頼、それに思い至った時、昔から言われている(最近ではビリギャルで有名になった)
『悪い子がいるんじゃない、悪い指導者がいるだけだ』
という言葉がバーン!と眼前に蘇った。
その子をちゃんと見て、理解して、相互に信頼関係が成立した中で、合った指導をしてあげれば、誰でも必ず伸びていく。
それは何もスポーツや勉強に限らず、ふだんの子育てにも当てはまる普遍的な理論、私もやり直せるものならやり直したい。
心に残ったセリフの数々を書き留めておく。
14歳で、親の決めた顔も知らない婚約者の元へ嫁がなければならない友達からの言葉。
『村中に非難されても黙って耐えてる。
それは娘の将来のため。いい父親よ。』
終始言葉少なに眼力鋭く、有無を言わせぬ威圧感を漂わせている父親の姿が印象的です。
ギータが全国代表になり、NSAのコーチから
『今までのトレーニング、食事管理、技、すべて忘れ ろ。俺の教えることだけ学べばいい。』
ダメな指導者の代表ですね。
NSAで新しい技を習い、それで父と対決して勝ち、奢っている姉ギータに妹バビータから
『技は弱くないよ、父さんが弱くなった。
その弱い技で全国大会に勝ったくせに。
ギータは自分の技を信じて。
私は父さんの技を信じる。』
バビータが全国大会に優勝してNSAに行く時、父から
『ここまでの道のりを絶対に忘れるな。』
新しい指導の元、国際大会で一勝も出来なくなったギータ、しかし今更父に教えを請えない、と躊躇している時にバビータから
『私達の父親だよ。
何も恐れることないわ。
説教を受け入れなきゃ。
今までそれに救われてきた。』
ギータ、コモンウェルス大会準決勝後の記者会見で
『この勝利による
すべての名誉を父に捧げます。
父からの信頼は絶大でした。』
決勝前夜に父からギータへ
『戦略は一つしかない。
人々の心に残る試合をしろ。
銀メダルだとやがてお前は忘れられる。
金メダルだと人々に勇気を与え、
子ども達の希望として永遠に残る。
勝利はお前だけのものじゃない。
何百万もの少女の勝利となる。
男より低い地位にいる少女の勝利だ。
今の少女達には家事と子育てしかない。
明日の試合はとても重要だ。
敵はオーストラリア人じゃない。
女を下に見るすべての人間との戦いだ。』
決勝戦で、背水の陣のギータに浮かんできた父の言葉
『お前の危機を救えない時だってある。
戦い方は教えるが、
戦うのはお前だ。
自分で乗り切れ。』
《成績》
2010年コモンウェルス大会
55キロ級 ギータ 金メダル
51キロ級 バビータ 銀メダル
2014年コモンウェルス大会
55キロ級 バビータ 金メダル
2012年 ギータ オリンピック出場